HERO【石川祐希】 (ページ17)

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祐希君はいったい何者なんだろうか。

何となくつけたテレビの横には
金色のメダルが飾られている。

日本人にしては高い身長。
服の上からでもわかる筋肉質な体。

もしかして有名な人だったりするのかな？

今手に持っているスマホを使えば
一瞬で調べられてしまうのだけど
私は本人の口から聞きたかった。

それに「秘密」って言われたのだから
勝手に調べるのは違う気がする。

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テレビから流れてくるイタリア語を
聞き流しながらオレンジジュースを飲んでいると
すぐに祐希くんが出てきた。

まだ完全に乾ききっていない前髪と
Tシャツから見える二の腕が
とても色っぽく見えた。

「お風呂借りるね」

「うん、バスタオルは置いてあるの適当に使って」

言いながら彼はグラスに
オレンジジュースをなみなみと注いでいた。

初対面の人の家に泊まるなんて
最初は自分でも無防備だと思ったけど
時間が立つにつれてその感覚は薄れていっていた。

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湯船につかりながらぼーっと考える。

今日のこと、
レッスンの先生に怒られるだろうか。
失望されるだろうか。
明日とあさってはレッスンが休みだから。
次に行ったときどんな顔をされるだろう。

自分の弱さとふがいなさに
自然と涙が溢れてくる。

イタリアまで来て、何してるんだろう。
パリコレへの道が険しいことくらいわかってた。
それでも挑戦したいと決めたのは自分だ。
深いため息が浴室に響いてより一層大きく聞こえた。