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「どうしたの」
言い合う声が聞こえたのか
祐希君が立ち上がって隣に立った。
「ミラノ行きのバスがもう出たって」
「マジで!?」
今度は私に代わって
祐希君が話をしてくれる。
私より流暢なイタリア語で
おじさんも彼を知っているのか
さっきより丁寧に答えているようだ。
しばらくすると
おじさんと握手を交わして戻って来た。
「やっぱりないって。
明日も日曜だからミラノ行きはないみたい」
その言葉に改めて
自分の軽率さを呪った。
初めに帰る時間を調べてれば…
何も考えずにここまで来てしまったけど
今更ホテルも空いてないだろうし
泊めてくれる友達もいない。
一体、どうすれば…
・
・
「あのさ、泊ることないんなら
うちに来る?」
思いもしない助け舟に
うつむいていた顔を上げる。
「あ、別に変な意味じゃなくて…
今からならホテルも取れないだろうし、
俺の家なら、ゲストルームもあるから…」
驚いた顔を見て
祐希君が慌てたように言い訳を並べる。
日本でこんなこと言われたら
きっと警戒して意地でも行かないんだけど
イタリアで知らない町だということもあり
とてもありがたかった。
「本当にいいの?
彼女とかいたら怒らない?」
「彼女いないから大丈夫」
祐希君が悪い人じゃないのは
この数時間で分かっているから
お言葉に甘えることにした。
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作者名:Haruka. | 作成日時:2019年11月10日 20時