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・A side
今市「俺、もう行くね」
そう言った今市さんの声さえ聞こえないくらい、いつそれを言ったのかわからないくらいぼーっとしていた私。
行かなきゃいけないのに、仕事しなきゃなのに足が動かない。腰が重い。
あの冷たい目が忘れられない。
どうすれば良かったんだろうか。
私と今市さんが話してたから?でもそれって登坂さんに関係ある?なんて意地悪な考えが浮かぶ。
分かってる。本当はちゃんと分かってるよ。
私は登坂さんが好き。だから、彼が他の女の人と話してるのが凄く嫌。
でもそれは、登坂さんも一緒のはず。
琴音って彼女がいるっていうのもちゃんと分かってる。
矛盾だらけの彼だけど、私の事を好きと言って抱き締めてくれたあの手を、あの瞳は本物だって伝わってくる。
私は、知ってる。それを愛っていうことを。
だけど、もし、今日、さっきので登坂さんに嫌われてしまったら。
果たして私は生きていけるのだろうか。
その答えは当たり前だけど否で。
どうしよう。嫌いになったなんて言われたら怖くて怖くて仕方ない。
怖いと思ったらいつの間にか止まったはずの涙が出てきて手が震える。
『っ、……ふ、…っひ、』
必死に口元を抑えて耐えるけど全然止まってくれない。もう嫌だ、なんでこんなに溢れてくるの。止まってよ。
登坂「A!!」
ああ、もう幻聴が聞こえるくらい私おかしくなってるのかな。
登坂さんって凄いなぁ。こんな短時間で人を好きにさせるんだもん。
人を好きにさせる天才なのかな?
登坂「おい、A!!!!」
そう言えば、登坂さん。
さっき私にお水とか渡して行ったけど渡したままだったよ?
登坂「おい、聞こえてんのかよ」
幻聴だと思っていたその声は幻聴じゃなかったらしく、ぐいっと腕を引かれて立ち上がらされた。
登坂さんが目の前にいる。って思ったらまたボロボロ泣けてきちゃって。
登坂「お前ほんとよく泣くね」
『ごめん、なさい、』
登坂「でもまぁ、何考えてるかわかんないような泣かない女よりも感情豊かな方が伝わりやすいんじゃね?」
それは、誰と比べてるの。
今あなたの中にいるのは誰なの。
ずるい、私は、私の中はあなたでこんなにもいっぱいいっぱいなのに、あなたはなんで他の人を思い浮かべてるの。
─────────ずるいよ、ずるい。登坂さんの中を、100%私で埋めたいのに。
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shirey(プロフ) - なんか苦しいですね、、(;_;)主人公ちゃんを救ってくれるのはもちろん、、 (2018年10月23日 21時) (レス) id: eae9c1c1ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2018年10月16日 16時