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撮影が終わったのは、朝の5時ちょっと前だった。
そのまま帰るのもなぁって思って、朝、昼、夕方、夜、って4部に3時間ずつやってる、前に私が背中を押してもらったおじいちゃんのお店へ行った。
『……おじいちゃん』
「なんだい?」
朝は5時から8時までやってるけど、さすがにこの時間は朝早すぎて誰もいないみたい。
甘々なストレートティーを出してくれたカフェのおじいちゃんはグラスを拭きながら話し相手になってくれる。
そろりと辺りを再度誰もいないのをしっかりと確認してため息を一つ。
『どうしたら、いいのかなぁ』
「またなんかで悩んでるのかい?」
『……うん、』
そう言えばあははと笑って私の頭をポンポンと撫でた。
「辛い恋をしてるのかな?」
『────────え、?』
「そういう時は、一度愛を感じてみなさい。それでいて、何か物足りないと思ったらそれは本物だよ」
なんでわかったの……エスパー?
“それ”をおじいちゃんが何を指してるのかは分からないけれど、きっと大切な物だろうから。
ニコニコと変わらず笑うおじいちゃんを見てたら、なんだかお父さんを思い出して─────────
そんな自分の気持ちに気づき慌てて時計を見る。
─────────今は5時半、集合は12時だから、大丈夫、間に合う。思い立ったら即行動!!!
『ごめんおじいちゃん、ありがとうございました!!』
お札を置いてダッシュで通りにでる。
タクシーを拾って乗り込み家の住所を早口で伝える。
その焦りが伝わったのか頷いたタクシー運転手さんは“飛ばしますね”と笑ってくれた。
世の中には、優しい人ばかりだ。
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shirey(プロフ) - なんか苦しいですね、、(;_;)主人公ちゃんを救ってくれるのはもちろん、、 (2018年10月23日 21時) (レス) id: eae9c1c1ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2018年10月16日 16時