____ ページ43
.
『ちょ、登坂さん?あの、琴音の部屋なら隣ですけど、って、んっ、』
琴音の名前を出した瞬間塞がれた唇。
玄関、閉めなきゃってドアノブの上にある鍵に手を伸ばしたらその手を掴まれて、ついでに反対側の手も掴まれて1つにまとめられた。
力、……強い
『登坂さん、お酒、呑んでます?よね?』
登坂「A、めっちゃいい匂いする」
スンスンって犬みたいに首元に顔を埋めて鼻を鳴らすからなんだか愛おしくて。
匂いが変わったって気付いてくれて嬉しかった。
『登坂さん、』
カチャン、って音がして見てみたら鍵が閉まっていて。
登坂「こっちみて、A」
その声で、私の名前を呼ばないで。
優しく、呼ばないで。
頭が痺れる。好きだって、でもダメだって。
トンって顔の横に腕をついて鼻と鼻がくっつくくらい近い距離で目が合う。
登坂「そのワンピとか、香水とか、どタイプすぎなんだけど」
『え、や、なんで急に、』
登坂「TAKAHIROさんと呑んでた」
『え?そうなんですか?』
あれ、でもまだ10時。TAKAHIROさんがそんな早く家に返してくれるわけないし…(軽くひどい)
登坂「無理に決まってんじゃん」
『え?』
登坂「玲於から、片寄とのツーショット送られてきたら、妬くに決まってんだろ」
“残ってた酒全部飲んできた”
なんて言って笑うからもちろん私の心臓が大人しくしてくれるわけなくて。
『でも、ことっ、!!!』
──────琴音がいるじゃないですか。なんて最後まで言わせてもらえなくて再び塞がれた唇。
しかもそれは直ぐに離れてくれなくて、熱っぽく、苦しい。
『んっ、……と、さかさ、』
登坂「っ、……なぁ、A、」
『な、んですか?』
やっと離れた唇は名残惜しかったけど、目の前で目を潤ませて私を見つめるから息が詰まる。
登坂「───────ごめん、」
『え、?』
“琴音と別れられなかった”
“でも、Aが好きなんだよ”
“どうすればいいんだよ、俺、”
まとめられた手がそっと離されてその代わりその手で抱きしめられる。
ポスン、と肩に顔を埋めて深呼吸する登坂さんをぎゅっと抱きしめ返した。
ごめん、と登坂さんが呟けばじわりと目の前が滲み、じわりと肩が熱くなった。
.
526人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうやん - 好きすぎて何回も読んでます!続きが気になりすぎて…。応援してます!頑張って下さい!! (2018年9月2日 2時) (レス) id: 923257e9a1 (このIDを非表示/違反報告)
ichika0312(プロフ) - 主人公さんはいきなり臣さんの事が好きになったのですか? (2018年8月1日 12時) (レス) id: 09afc1ea42 (このIDを非表示/違反報告)
佐野琴吏(プロフ) - このお話大好きです!!応援してます!! (2018年7月28日 20時) (レス) id: ba364fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ラベン | 作成日時:2018年7月28日 20時