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*Cinderella 鶩* ページ44

奥方が嫁いで2年が経った頃


奥方と夫の間に娘が生まれました


二人は一人娘をたいそう可愛がりました


そんな幸せなある日


奥方は見てしまいました


夜会の席で夫が奥方の見知らぬ女性と


キスをしていたのです


奥方は夫を深く愛し強く信じておりました


それ故に、心は酷く傷付きました


もしかしたらお酒のせい…?
きっと転んだ拍子にああなったのね?


そう思い込もうとしたこともありました


しかし


どんなに都合の良い解釈をしてみても


奥方の心は決して晴れることがありません


やがて奥方は少しずつ夫を信じることが


できなくなってゆきました


目の前の小さな幸せだけでは心に燻る不安を


埋めることができなくなってゆきました


優しい魔女のあの言葉を


信じることができなくなってゆきました


気持ちの晴れない日々を送る奥方はある日


一人で夜会に出掛けました


この窮屈な気持ちをどこかに


吐き出さずにはいられない思いからでした


“もし”


一人寂しくグラスを傾ける奥方に


男が声をかけてきました


声のした方を見た奥方は一瞬身を固くしました


視線の先にいたのが


以前自分の腕を掴んだあの男だったからです


こんなところで会うなんて…


あの時の悪寒が再び体を駆けめぐります


奥方はその場を去ろうとしました


“お待ちください!”


男が呼び止めます


“今回は先日の無礼を謝りたく声を

かけさせて頂きました 突然あのように女性の

肌に触れるなど…

貴女を驚かせてしまったことでしょう…

申し訳ございませんでした”


奥方が膝をついて深々と頭を下げる男の態度に


驚いていると男は視線を上げて奥方を見据えます


“何やら元気がないように見えますが…

何か…あったのですか?”


奥方はどきりとしました


“…そうなのですね?”


男の言葉に奥方はぎこちなく頷きました


“私で良ければお話だけでもお伺い致しますよ”


男が優しく語り掛けます


“今宵の夜会を彩る華が暗い顔をしていては…

晴れる気持ちも晴れません”


微笑みながら言った男に以前のような


恐怖は感じられませんでした


奥方は男に心の蟠りを洗いざらい話しました


男はただ黙って奥方の話を聴いていました


思いの丈を全て語り尽くした時


奥方は泣いていました


言葉にしたことで


夫と自分の心が離れてしまったことを


思い知ったからです


奥方にはあの頃のように


夫を愛していると言い切る自信は


ありませんでした

41*おかしな事→←40*花売りと魔女



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黒妃 - ☆くうちゃん★さん» 未定です((←というか多分ないと思います (2015年1月23日 7時) (レス) id: fe8ac84d9e (このIDを非表示/違反報告)
☆くうちゃん★ - この小説って誰オチですか? (2015年1月22日 21時) (レス) id: 755fd59f34 (このIDを非表示/違反報告)
黒妃 - 暁さん» ありがとうございます(*´∇`*)週末辺りには何話かまとめて更新できそうなのでそれに向けて両立頑張ります♪ヽ(´▽`)/ (2015年1月5日 20時) (レス) id: fe8ac84d9e (このIDを非表示/違反報告)
- 続きがとっても気になります!更新とお勉強頑張ってくださいね!応援しております♪ (2015年1月5日 19時) (レス) id: 2a89ffd64a (このIDを非表示/違反報告)
黒妃 - リリアンヌさん» ありがとうございます!そう言ってもらえて安心しました( ̄▽ ̄ )応援感謝です(^∧^) (2014年12月29日 21時) (レス) id: fe8ac84d9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒妃 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年12月22日 11時

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