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*Cinderella 鶤* ページ33

娘は迎えに来た青年の馬に乗りました


魔女は青年に娘のことを頼むと最後に言いました


“外界は素晴らしいもので溢れています


どれもあなたを魅了して止まないことでしょう


しかし小さくても目の前の幸せを大切になさい


本当の幸せとはそういうものです


魔法やまじないでは手に入らない…”


娘は力強く頷きました


“あなたの幸せを私は心より祈っています”


心の底から優しく微笑んだ魔女は光の粉となり


消えてしまいました


娘はと青年は驚きました


娘は魔女からもらった首飾りを握り締め


最後に“ありがとう”と言いました


首飾りに魔女の温もりを感じた気がしたのです


そして青年と共に森の外へ旅立ちました

 

娘が森を出て間もなくのこと…


 
若き貴族が娶った“森の美女”の噂は


数日で町中に広がり、舞踏会やパーティーでは


女神と見紛うほどの若く美しい奥方の姿を


一目見ようと多くの男性が押し掛けました


その中には、奥方を口説こうとする者も


山のごとく、ごまんとおりました


“君を愛している”


“私は夫以外愛しておりません”


“君を幸せにする”


“私はもう幸せです”


“君に嫌な思いはさせない”


“でしたらお引き取りください”


どんな男性の贈り物も誘いも求婚も


奥方は毅然とした態度でかわし


決してそれらの言葉に


耳を貸すことはありませんでした

 

“小さくても目の前の幸せを大切になさい”

 

素直な奥方は森にいた頃のように


魔女の言いつけを守っていたのです


そんな奥方の深い愛情と彼女を信じる夫の姿に


いつしか誰も横槍を入れるような真似は


しなくなってゆきました


奥方の胸にはいつも


あの首飾りが煌めいていました


そんなある日


屋敷で開かれた舞踏会に来ていた男性が


奥方に近付いて来ました


奥方は男性に気付くと


その場を離れようとしました


しかし男性が駆け出して奥方の腕を掴みました


いきなり距離を狭めてきた男性に驚き


彼を凝視する奥方を見て男性は


にんまりと口角を上げ呟きました


 


“見付けた…”


 
奥方はその表情を見た瞬間


激しい悪寒に襲われました 気味が悪い…


“お止め下さい”


奥方を助けに入った執事のお陰で彼女は


夫の側へ逃げることができました


──“お逃げなさい!!”


腕を掴まれた時


優しい魔女の必死な声が聴こえた気がしたのです


男性は舞踏会が終わるまでず…っと


奥方を目で追い続けていました

31*赤面と視線→←30*知ることの義務



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黒妃 - ☆くうちゃん★さん» 未定です((←というか多分ないと思います (2015年1月23日 7時) (レス) id: fe8ac84d9e (このIDを非表示/違反報告)
☆くうちゃん★ - この小説って誰オチですか? (2015年1月22日 21時) (レス) id: 755fd59f34 (このIDを非表示/違反報告)
黒妃 - 暁さん» ありがとうございます(*´∇`*)週末辺りには何話かまとめて更新できそうなのでそれに向けて両立頑張ります♪ヽ(´▽`)/ (2015年1月5日 20時) (レス) id: fe8ac84d9e (このIDを非表示/違反報告)
- 続きがとっても気になります!更新とお勉強頑張ってくださいね!応援しております♪ (2015年1月5日 19時) (レス) id: 2a89ffd64a (このIDを非表示/違反報告)
黒妃 - リリアンヌさん» ありがとうございます!そう言ってもらえて安心しました( ̄▽ ̄ )応援感謝です(^∧^) (2014年12月29日 21時) (レス) id: fe8ac84d9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒妃 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年12月22日 11時

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