Episode7 -8 ページ8
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「だから、一緒に仕事してる人と出かけることになったの」
もう一度言うと智兄さんの眉がつり上がる。
「デートってことか？」
「え、いや……でもなにもないよ？」
「なにもないわけあるか」
智兄さんはずいと私に顔を近づける。
「兄さ、」
「男が女を誘う理由なんてほかにねぇだろそいつのこと好きなのか！」
「ちがうちがうちょっと落ち着いて兄さん」
いつものことだけど、兄さんは相変わらず私に過保護…いや、オブラート外そう、シスコンだ。
正真正銘の。
昔から私がデートに誘われたと聞けばそれはそれは難しい顔してくれぐれも何もするなよとくぎを刺す。
大丈夫、何もしないってば。
「お世話になったの、今回のことで。そのお礼と、お誕生日のお祝いを兼ねてるの」
「それでもデートだろ」
「そうだけど…」
そう何度もデートって連呼されるとちょっと恥ずかしい。
私は別に二宮さんのことを好きになったわけではない。
まぁ、デートであることは何も違わないんだけど。
「大丈夫、ちょっと出かけるだけだってば」
二宮さんには付き合ってもらいたいところがあるんです、と言われている。
私はそこに付き合うだけだ。
ということにしておいた。
智兄さんはしぶしぶ私から離れると立ち上がってキッチンへ入っていく。
「兄さん？」
「飲む。お前も付き合え。デートは明後日だろ」
「……あぁ、うん、飲む飲む」
一応二宮さんとのデートに行く智兄さんの許可が出たらしい。
私には兄さんに言葉を返しながら「とりあえずシャワーだけ浴びていい？」となるべく兄さんを刺激しないように脱衣所の扉を開けるのだった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年7月10日 15時
