Episode11 -2 ページ33
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栄養食のお菓子とゼリードリンクでお昼を簡単に済ませていたらスマホがブーと音を立てた。
開くと二宮さんからのメッセージが目に入る。
『俺は大丈夫ですから、無理だけはしないでくださいね』
その文言に頬が緩む。
優しいな、二宮さんは。
私が気にしないようにとわざわざ送ってくれたのだろう。
私は作業の手を止めて画面に指を走らせた。
『ありがとうございます。今のペースなら問題なく終わると思います』
誤字脱字と文章が可笑しくないかだけを確認してメッセージを送る。
そのままスマホの画面を消して、伏せて机の端へと追いやった。
あと少し、急いで終わらせてしまおう。
作業を終えたのは夕方に差し掛かる時間帯だった。
二宮さんと改めてした約束は五時だから、まだ十分間に合う。
「お疲れさん。完璧だな」
「大丈夫ですか？」
「ああ、問題ない」
私のパソコンをのぞき込んでいた櫻井さんは身体を起こすと優しく笑う。
「ニノのために頑張ったのか」
「え？いえ……私のミスですから…」
「はは、そっか」
櫻井さんは訳知り顔で笑っている。
不満げな気持ちが顔に出たのか櫻井さんが「悪い悪い」と軽く謝る。
「ほら、もうここはいいからニノとの約束に向かえよ。多分もう待ってるよ」
「え、でもまだ…」
「どうせ元は昼間から会う予定だったんだろ？」
「そうですけど、よくわかりましたね」
「そりゃ、長く一緒にいたいだろうからな」
そう言うと、櫻井さんはため息交じりというか、苦笑いをしながら言った。
「だったら急いで損はないぞ。多分もう待ってるだろうからな」
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年7月10日 15時
