Episode9 進展 ページ18
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二宮さんとデートをした週の金曜日。
滞りなく合同会議が終わると二宮さんと目が合った。
ちょいちょいと手招きをされて私は椅子から立ち上がると二宮さんの傍へと寄る。
「どうかしましたか」
「Aさん、今夜時間あります？」
「今夜ですか？仕事さえ片付けばありますけど…」
今日は午後にデザインチームとの打ち合わせと原画チームとシステムチームの打ち合わせに出なければいけない。
それが済み次第櫻井さんと一緒にシナリオの第二案を検討する予定が入っている。
それさえ終われば、八時前には時間ができるはずだった。
「じゃあ、良かったら飲みに行きませんか。ほら、飲みに付き合ってくださいよって話したじゃないですか」
二宮さんは手でコップを傾ける動作。
確かに最初のころにそんな話をした気がする。
というか、最初は一緒に飲みに行けますねくらいの話だったのに気が付いたらデートにまで付き合ってしまった。
私はたぶん、二宮さんにだいぶ心を許している。
最初の日とは比べ物にならないくらい。
「いいですよ。まだお食事も行けてませんし」
デートの日から五日、さすがにまだ実現していない。
私が頷くと二宮さんの顔が明るくなる。
「じゃあ店は相愛亭以外ってことで。あそこだと邪魔が入るかもしれないから」
「邪魔って」
二宮さんは視線だけで櫻井さんと松本くんを指している。
二宮さんの物言いについ私は笑ってしまった。
視線に気づいたのか声に気づいたのか、シナリオスタッフと話していた櫻井さんが話を切り上げてこちらへやってくる。
「お疲れ様です櫻井さん」
「お疲れ」
「お前らなんか言ったろ」
「いいえ何も。ねぇAさん」
「ふふ、はい」
「隠せてねぇよ」
私が笑っちゃったからか櫻井さんにじとりと睨まれた。
肩をすくめて櫻井さんは私と二宮さんを見比べる。
「なんか、お前らずいぶん仲良しになったな」
「えっ」
「そう？」
びっくりする私と裏腹に二宮さんは首をかしげている。
櫻井さんは厚みのある唇の口角を上げてニヤリと笑って言った。
「おー。なんか距離の縮まるイベントでもあったか？」
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年7月10日 15時
