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Episode8 -6 ページ14
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二宮さんは最寄りの駅まで送ってくれた。
本当は家の方まで送ってくれるつもりがあったみたいだけど、智兄さんが迎えに来るからという理由で遠慮させてもらった。
電車が私の最寄り駅に滑り込むころにはすっかり本降りになってしまっていた。
窓の外を見ながら私は二宮さんに問いかける。
「二宮さん、傘持ってます？」
「一応折り畳みはありますよ」
「あぁ、じゃあよかった」
電車が動きを止めて扉が開く。
押し出される波に流されながら電車の外に出るとひんやりした空気が肌を撫でた。
「冷えてきましたね」
「そうですね」
ふるりと肩を震わせたら横を歩いている二宮さんがもぞもぞと動く。
「二宮さん？…あ」
「どうぞ。着て帰ってください」
ふわりと肩にかけられた少し大きなカーディガン。
二宮さんが来ていたものだと気が付くのに少し時間がかかった。
頬がじわりと熱を持つのを感じながら私は二宮さんの手を押し返す。
「そんな、お借りするわけにはっ」
「でもどうせ明日会いますし。女性は体冷やさない方がいいですよ」
「でも二宮さんが…」
「弱っちく見えるかもしれませんけど、これでも俺は男ですから。平気です」
笑いながら言っているものの着て帰れという圧を感じて私はおずおずと頷く。
それを見た二宮さんは満足そうに笑ってくれた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年7月10日 15時
