Episode8 -4 ページ12
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いくつかのアトラクションに乗った後。
私たちはお昼を食べるためにフードコートに足を踏み入れた。
時間が少し遅いからか運よく空いているテーブルを発見して腰を下ろす。
「順番に買いに行きますか？」
「いや、俺が買ってきますよ。Aさん何がいいですか」
「ええと、じゃあ……」
壁に貼ってあるメニューを見ながら商品を決める。
「じゃあこのハンバーガーのセットで」
「あ、奇遇ですね、俺もそれにしようと思ってました」
顔を見合わせて小さく笑う。
二宮さんは鞄から財布だけを取り出すと注文の列へと向かっていった。
その背中を見送りながら私は少しだけ考え込む。
ハンバーガーって、デートで食べない方がいい食べ物だよね確か。
とはいえ場所が場所だしなぁ…まぁいっか。
そんな風に結論付けてスマホを開く。
すると智兄さんからの連絡が届いていた。
「あれ」
『夜雨降りだしそうだから駅まで迎えに行く』
開くとすぐにそんなメッセージが目に入った。
『折り畳み傘持ってるよ？』
そう返事をするとすぐにまたメッセージが返ってくる。
『長い傘持ってくから、駅で待ってろ』
『わかった』
過保護だなぁと思いながらもちょっと頬が緩む。
長い傘を持ってきてくれるならびしょびしょにならずに済みそうだ。
ありがとう智兄さん。
十分ちょっとで帰ってきた二宮さんの手には同じハンバーガーセットが二つ並んでいた。
一つを私の前に置いて二宮さんも椅子に座る。
「あ、いいですよお金」
「え、でも…」
財布を取り出しかけた手を二宮さんに押さられる。
笑顔のままで二宮さんは首を振った。
「翔ちゃんじゃないけど、デートに誘っといて女性にお金出させたりしませんよ」
「……でも」
「じゃあ今度会社でジュースでもおごってください。それでいいですか？」
「…わかりました」
押し問答をしても仕方がない。
私はにこにこと笑う二宮さんに甘えることにして財布を鞄へと仕舞ったのだった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年7月10日 15時
