Episode8 -3 ページ11
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二宮さんにチケットをくれた人って、もしかして女の人なのかな…。
何となくそう思って視線を落とす。
「あ、男ですよ？」
「えっ？」
パッと顔を上げると二宮さんと目が合う。
「あれ、ちょっとくらい気にしてもらえません？残念だなぁ」
分かりやすく動揺した私に二宮さんは冗談めかして笑いながらそんなことを言った。
私はあわててパタパタと手のひらを振る。
「いやあの、気にしたわけでは…っ」
「あれ、気にしてくれたんですか？嬉しいな」
あー、私の馬鹿！
動揺したことがバレバレだ。
嬉しそうにほおを緩めた二宮さんの笑顔があまりにも甘かったから私は恥ずかしくなって視線をそらした。
逸らした視界の中にはヨーロッパ風の建物が立ち並ぶエリアが映る。
勝手に、頬が緩んだ。
作りこまれた景色を見ているだけでも創作意欲がメキメキ刺激される。
心がワクワクと弾みだしていた。
「ありがとうございます二宮さん。誘ってくださって」
「まだ何も乗ってませんよ？」
「いえ、今すごく楽しい気分なので」
私は笑顔でそう言った。
この場所を二宮さんと一緒に歩いていることも楽しさの一つだと思う。
二宮さんは一瞬固まると、じわじわと首筋を赤くした。
「二宮さん…？」
何か変なことを言ってしまったかと思って首をかしげる。
二宮さんはちらりと私の目を見ると、そっとその目をそらしてしまった。
「すみません、可愛かったので」
「えっ……あ、えっと……すみません」
「いや、俺こそありがとうございます。付き合っていただいて」
そう言うと、二宮さんは気を取り直すみたいに咳払いをした。
「さあ、何か乗りましょう。何がいいですかね」
二宮さんのその言葉を合図に、私たちはアトラクションを求めて歩き始めた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年7月10日 15時
