Episode7 欲しいもの ページ1
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二宮さんと一緒に映画を見に行った翌週の金曜日。
合同会議が終わると櫻井さんが私の肩を力強く叩いた。
その表情は晴れやかで、私も頬を緩める。
「お疲れ様。助かったよ大野」
「いえ、なんとかまとまってよかったです」
「結局、Aのアイデアがほぼ通る形だったな」
「いいアイデアでした、Aさん」
そう手放しに褒められると少々照れくさい。
私はテレをごまかすように首を振って、二宮さんを見上げた。
「これも、二宮さんが映画に誘ってくださったおかげです」
「いや、俺は俺得な行動をしただけですから」
手を振って否定する二宮さんだけど、たぶん煮詰まってる私のヒントになるようにわざわざあの映画に誘ってくれたのだろうことは分かっている。
おかげさまであの日の帰りに櫻井さんに連絡を入れながらかなりの案がまとまった。
それから約十日、今日の会議で新たに盛り込むメイン展開やシステム等の第一案が無事にまとまったのだ。
二宮さんが連れ出してくれていなければ、今もまだまとめられていなかったかもしれない。
「無事決まったことだし、お疲れさん会でもするか」
「賛成です」
櫻井さんの言葉に松本くんが勢い良く頷く。
その顔には疲れが出ていたけど、表情は晴れやかだ。
松本くんもこの十日間かなり忙しそうだった。
「大野もいいよな」
「はい、喜んで」
櫻井さんに返事をしてから二宮さんに向き直る。
「二宮さんもいいですか」
「あ、俺も行っていいんですか？」
「もちろんですよ。今日があるのは二宮さんのおかげみたいなものですから」
「ま、大野の言う通りだな。相葉ちゃんに連絡入れとくよ」
「じゃあ、お邪魔します。よろしく翔ちゃん」
お疲れさん会の会場は相愛亭のようだ。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年7月10日 15時
