シンデレラ・ディレクション《ars/k.n/0617》 (ページ18)

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Episode3 神様の贈り物ページ18

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移植版に制作に関する資料やら現在運営しているアプリの基本資料やらととにかく顔合わせを含めた初日の会議までに私たち移植版製作チームは結構忙しくしていた。

と言ってもその期間は二日間だけだけれど。

アプリの基本開発資料をこんなに見返したのはアプリを配信した二年前以来かもしれない。

そしてやってきた移植版製作チームの顔合わせ当日。

いつもより少し早く出社すると櫻井さんが耳元に当てていたスマホを降ろして片手を上げた。

「おはよう大野。今日はよろしく」

「おはようございます。こちらこそ、よろしくお願いします。……仕事の電話ですか？」

「いや、プライベート。デートに誘った子に振られた」

泣き真似をする櫻井さんに「残念でしたね」と言いかけた私の後ろから「そりゃご愁傷さまです」と呆れたような声が響く。

私と櫻井さんが同時にそちらを見ると出社してきた松本くんが呆れたような目を櫻井さんに向けていた。

私と同じように早めに出社してきたらしい。

そういえば櫻井さんのデスクの上ではパソコンも立ち上がっていて丁寧にまとめられた資料も出されている。

私たちよりずっと早く出社して仕事をしていたようだ。

「おはよう松本くん」

「はよ、A。櫻井先輩も、今日からよろしくお願いします」

「あぁ、うん。俺お前のそういうところ好きだよ…」

からりと切り替えて爽やかにあいさつをする松本くんに櫻井さんは力のない声でそう言った。

まぁ、櫻井さんのデートの件はともかく。

出社した私たちは櫻井さんの指示の元顔合わせ兼会議初日のための資料をまとめたり人数分のコピーを取ったりスライドの確認をしたりと忙しくしながらその時間を待っていた。

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