シンデレラ・ディレクション《ars/k.n/0617》 (ページ40)

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Episode6 -5 ページ40

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横断歩道で立ち止まった。

その間にスマホを開いて連絡を入れる。

『もうじき着きます。すみません遅くなって』

するとすぐに返事が来た。

待ち合わせの時はたいていそうだけど、ずっとスマホを見てくれているらしい。

『まだ時間は大丈夫です。落ち着いてきてください』

『ありがとうございます』

返事をしたところで信号が変わる。

私は駅へと向かう大勢の人に流されながら待ち合わせ場所の映画館に向かった。

会社を出る直前、何やら別ラインのアプリでトラブルがあったようで、様子を確認するためにしばらく残っていたから待ち合わせの時間を大幅に過ぎてしまった。

二宮さんは平気だと言っていたけれど、申し訳なくてつい駆け足になる。

映画館の建物の下には広い映画館の敷地があって、そこに立った時計が待ち合わせの場所だった。

時計を見つけてまた更に駆け足になる。

するとスマホに顔を落としていた二宮さんが顔を上げて、私に気が付くと口元を和らげた。

「すみません二宮さん…！」

「大丈夫ですよって言ったのに。そんなに走らなくてよかったんですよ」

苦笑しながら二宮さんが私を迎える。

私は息を整えながらふるふると首を振った。

「いえ、お待たせしてしまったのにそういうわけには…」

「別ラインでトラブルなんてゲーム会社ではよくある話ですから。まぁ、走ってきてくれたって言うだけで、俺としては十分です」

微笑むと二宮さんは「こっちです」と先に歩き出す。

周りには同じように待ち合わせをしているカップルの姿がちらほら見受けられた。

もしかして、私たちもあんな風に見えているんだろうか。

そう思って、急に恥ずかしくなってくる。

「Aさん？」

ついてこない私を不思議そうに振り返った二宮さんに「なんでもないです」と早口に答えて私は小走りで横に並んで二宮さんと一緒に映画館へと足を踏み入れた。

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