シンデレラ・ディレクション《ars/k.n/0617》 (ページ34)

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Episode5 -6 ページ34

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週明けの月曜日。

土日返上で対応に当たったおかげでなんとか不具合を修正したアプリ運営チームはようやく肩の荷を下ろした気分で補填のアイテム会議に挑んでいた。

もっとも私は担当外なので会議室の外、自分のデスクでアプリの資料とにらめっこ。

アプリの不具合が治ったからといって移植版に盛り込むアイデアが降って湧いてきたわけではない。

「大野、眉間にめっちゃ皺寄ってるぞ」

「あ、櫻井さん…お疲れ様です。会議終わったんですか」

トントンと自分の眉間を指で叩いて見せる櫻井さんもそう聞き返す。

どこか疲れたような顔をした櫻井さんは「まぁな」とため息交じりに呟いた。

「なにかありました？」

「いや、大きめの補填になった。売上目安の修正掛けなきゃな」

「あぁ…お疲れ様です」

つられるように私も苦笑い。

仕方ないこととはいえ、小さな会社だから櫻井さんの負担が増えるばかりだ。

「何か手伝えることありますか」

後ろから松本くんが声を掛ける。

振り向いた櫻井さんは少し悩んでから、苦笑いをして私がにらめっこをしていたアプリの資料を指さした。

「そっちは頼んだ」

私と松本くんは顔を見合わせて同時に肩をすくめる。

「あぁ、そうですね。わかりました」

「何とかします」

これはまだしばらく落ち着きそうにないな。

そう思ったのは私だけではないだろう。

「何か思いつきそうか？」

「んー、それがこれといって。今までアプリでやったようなものは思いつくんですけど、コンシューマーとなると」

松本くんが重たい声を出した。

気持ちは私もよくわかる。

「シンデレラっぽさはあった方がいいですよね」

「そうだろうな。はぁ…ニノになんか借りていくつかやるかな…」

「それも手ですね」

二宮さん、ゲーム持ってるんだな。

櫻井さんの言葉を聞きながら私はそう思った。

ゲーム会社に勤めてれば当然かもしれないけど、櫻井さんがそれを借りるくらい近しい友人であることを改めて認識する。

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