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10−追悼 ページ10

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_ゴーン…ゴーン…





『A、朝だよ! 起きて!』

「ううん…大きな音…意地悪な時計ね」





朝を告げる王都の時計はこの辺境の国にまで届く。
きっと王都に住んでいたらあの音で目覚めない人は居ない。

枕元には大好きな小鳥の姿が。
今日も新しい1日が始まる。


_あれから数日が経った。
実弥は平気かしら。お腹を空かせていないといいけど。





「ねぇ小鳥さん、森のオオカミさんの様子を教えてくれない?」

『元気だよ! 最近は違う森まで行って狩りをしてる!』

「そう。良かった」





お肉の味を占めたんだろう彼が元気そうに狩りをしているみたいで安心する。
魚だけでの生活で、もし私が見つけるのがもう少し遅かったら、彼は死んでいたかもしれない。

そうならずに済んで良かった。また会いたいな。





「A様……」

「…? しのぶ、どうしたの?」

「来客です」





わざわざ屋根裏まで呼びに来るなんて珍しい。
そんなに急ぎの来客なのかな。不安だわ。

いつもの服に着替えてから急いで玄関へ向かうと、私の慌ただしい足音に姉様と奥様も起きてしまったみたいだった。


玄関には、いつもの格好をした善逸が居た。
姉様達が歓喜の声を上げる。

…だけど今日だけは、善逸は見向きもせずに私を見据えた。





「…A…」

「おはよう善逸…どうしたの?」

「旦那様が…」





その一言だけでお父様に良くない事があったのだと瞬時に理解できる。
善逸は泣きそうな顔をしていた。





「旅先で、急病を患って…」

「……」

「_亡くなったんだ」

「…」





言葉を失った。私の大好きなお父様。





「…これを…君にって、従者が…」





善逸は左手に持っていた小さな小枝を私に手渡す。
_父に強請った、最後の贈り物。






「私のキャンドルは?」

「パラソルはー…?」

「…分からないの? _終わりよ…どう生きろと?」





奥様の声だけが、寂しく大きな屋敷に響き渡る。
私は父からのプレゼントを握って、善逸を見つめ返した。





「…ありがとう、善逸…あなたも、辛い思いをしたわね」

「…A…」





扉を閉めた先には、もう背中に居た奥様達は居なくなっていた。
…お父様、ああ…愛する私のお父様。

母様も居なくなって、私には貴方の死が痛くて堪らない。
どうして病気はお父様を選んだの?


これから私は…どうすればいいの?





快晴だった西の空に、暗雲が立ち込めていた。





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えん - 実弥推しだったので、すごく嬉しいです!リクエストできるなら、白雪姫の夢主と王子の実弥、鬼滅キャラの七人の小人、見てみたいです! (2021年6月3日 20時) (レス) id: dfa45071da (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 実弥オオカミ!素敵です!リクエストしたいです!何だっけ?獣の子?の主人公を女にして師匠を実弥に、で恋物語に…それかオオカミ子供のアメとユキ?かジブリのハウルパロディ、もし叶うなら小芭内をお願いしたいです、玄弥、小芭内のお話ラブなのがなかなか無いので (2021年3月13日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
めあり - 鬼滅版シンデレラですね (2021年2月14日 4時) (レス) id: ca5a6634ce (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 湯海さん» 湯海様、最後までご愛読ありがとうございました!沢山うんうんと悩んだ結果の役ハメでしたので、そう言って頂けて努力した甲斐がありました…!この作品での実弥王子は本当にまっすぐでありながらもあざとかったですね……それすらも愛おしい(錯乱) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ayaさん» コメントに気付くのが遅くなってしまいました、すみません!aya様、こんな所にもコメント残して下さってたんですね…!ありがとうございます!aya様を幸せにする小説を作り上げることができて嬉しいです(^^) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年5月31日 17時

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