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34−追憶の森 ページ34

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彼女と王子のダンスを、勿論継母達も見ていたわけで。
二人して縮こまって美しいAの正体に気付かず二人を目で追いかけていた。





「あの娘は? 嫌な予感がするわ」

「すごいドレス」

「美人ね」





羨む目でAを追う自分の娘二人の頭を、継母は扇子で叩く。
そうこうしている内に最初のダンスが終わって、盛大な拍手が鳴り響く。





「……ぼやぼやしてないで王子の気を引くのよ!」





どん、と強く彼女達の背中を押した継母は、近くに居た紳士二人を捕まえて半ば強引に娘たちに連れ添わせる。

舞踏会の始まりだ。皆こぞってダンスパーティをし始める。


そして注目の的であった彼女達は……相手を変える事なく見つめあっていた。





「あの、王子様。私、」

「_行こう」





王子が優しく手を取って彼女を連れ去る。
驚くAを横目に、王子は小さな手を引いて大広間を抜け出した。

彼らが居なくなった事に気付く者はまだ居ない。



手を引かれるまま連れてこられた場所は宮殿の裏庭だった。
騒がしい場所に慣れていないAにとって、穏やかな夜の裏庭は安息所だ。





「お、王子様…! 待ってください、どうして…!」

「どうして? その先の質問を当ててみようか。
"どうして私を選んだんですか?"…違う?」

「…っ私はただ、舞踏会に行ってみたかっただけなんです。
貴方様のような高貴なお方と見合うような身分では_」





全てを言う前に彼女は口をつぐんだ。
否、唇に彼の人差し指をあてがわれ噤む他なかったからだ。

王子はAと目が合うようにわざわざ腰を折ってのぞき込む。
それに気付いた時慌てて顔を上げると、鼻がくっつく程近い距離に端正な顔立ちとまみえて思わず顔を引く。





「俺にどうか、畏まって喋らないでくれるか? 緊張した顔も素敵だが、やはりいつものような笑顔が見たい」

「……っやっぱり宮殿の方は皆女の扱いに長けているんだわ……」

「何か言ったか?」

「王子様が、普段通りの話し方をしてくれるのなら…」

「……普段も、変わらないが」

「今、"俺"と」





いつの間にか素で一人称を間違えたようだ。
しまった、と表に出すと直後には開き直った顔で彼女を見つめた。





「森で育ったんでなァ。2週間必死にレッスンを受けたがやはりすぐに直るもんじゃねェか」

「そっちの方が好きです」

「そうか」





王子に向かってなんて口の利き方を。
それでも何故か既視感が抜けない。





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えん - 実弥推しだったので、すごく嬉しいです!リクエストできるなら、白雪姫の夢主と王子の実弥、鬼滅キャラの七人の小人、見てみたいです! (2021年6月3日 20時) (レス) id: dfa45071da (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 実弥オオカミ!素敵です!リクエストしたいです!何だっけ?獣の子?の主人公を女にして師匠を実弥に、で恋物語に…それかオオカミ子供のアメとユキ?かジブリのハウルパロディ、もし叶うなら小芭内をお願いしたいです、玄弥、小芭内のお話ラブなのがなかなか無いので (2021年3月13日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
めあり - 鬼滅版シンデレラですね (2021年2月14日 4時) (レス) id: ca5a6634ce (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 湯海さん» 湯海様、最後までご愛読ありがとうございました!沢山うんうんと悩んだ結果の役ハメでしたので、そう言って頂けて努力した甲斐がありました…!この作品での実弥王子は本当にまっすぐでありながらもあざとかったですね……それすらも愛おしい(錯乱) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ayaさん» コメントに気付くのが遅くなってしまいました、すみません!aya様、こんな所にもコメント残して下さってたんですね…!ありがとうございます!aya様を幸せにする小説を作り上げることができて嬉しいです(^^) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年5月31日 17時

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