Riant？ (ページ1)

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「お嬢様、本日は13時からバレエのお稽古の後旦那様とお食事です」

「わかったわ。」

私は、所謂良家のお嬢様。

やることなすこと全てが決められていて

自由を感じたことがない。

毎日毎日退屈。

同じ事の繰り返し。

私は自分が何のために生きているのかわからない。

大好きなバレエも、つまらなく感じてしまう。

お父様はお母様が亡くなってからおかしくなった。

私を見ていない。私自身を。

私にお母様を重ねているだけ。

そこに、私への愛は無い。

自宅から車で数キロのバレエ教室。

いつも教室の少し手前で車を停めて、この大きな公園を歩いて抜けていく。

私の気持ちを理解してくれているのは執事の阿部だけ。

何も言わないけど、息抜きも兼ねてこの公園からの道を選んでくれていること、気付いてるの。

あれ、あんな大きなテントあったかな。

「ねぇ阿部。あれは何？」

阿「あぁ、恐らくサーカスですね」

「サーカス･･･」

前に本で読んだ事がある。
空中ブランコにプリマ
たくさんのクラブを投げるジャグリング
綱渡りに動物の曲芸
そしてピエロ

本の中に出てきたプリマは、

劇場や舞台で粛々と踊るのとは違い、

可憐に、けれどどこか妖艶に…そして自由に踊っていた。

私が今から行かなくてはいけない
つまらないバレエとは違う。

「本物の・・・サーカス・・・」

阿「・・・お嬢様、そろそろお時間が」

「えぇ、わかってい「こんにちは、素敵なレディー」」

「え？」

「今日の15時と19時からそこのテントでショーがあるんだ！良かったら見に来てよ！これ、チラシね！あ！良ければお兄さんも一緒に！ね！」

「え、あっ・・・」

あ、ちょっとそこのお兄さーん！今日の15時と19時から〜

行っちゃった・・・

ショーって・・・

Cirque du neige・・・？

阿「・・・お嬢様、お稽古に遅れます。」

「・・・えぇ。」

阿「サーカス、見に行かれたいんですか？」

「・・・阿部は、どう思う？」

阿「そうですね。旦那様とのお食事は17時からですので、最後までは難しいですが・・・」

「あべ・・・！！」

阿「ふふっ私は、お嬢様の執事ですから」

「ありがとう、あべ・・・。」

私は、そのチラシを大事にコートのポケットへしまった。

退屈だと思っていたお稽古が楽しみになるくらい

今私の心はキラキラと輝いている。