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「光くんが踏み切りで…」
その日は夏休み前の期末テストの前日だった。
夜、部屋に籠ってテスト勉強をしていると、顔を真っ青にしたお母さんが部屋に入ってきて言ったんだ。
「え…」
光が踏切に飛び込んで、自 殺したと。
それから１週間、俺は学校どころか外にすら出なかった。
期末テストは結局受けなかった。
信じたくなかった。
もう光がこの世界にいないなんて。
光のいない世界なんて俺には何の価値もない。
光が死んでから１週間が経った日、お母さんが俺の部屋に夜ご飯と一緒に白い封筒を持ってきた。
「…光くんの部屋にあったって。光くんのお母さんから渡されたから。」
それだけ言ってお母さんはドアを閉めた。
震える手で封筒を手に取ると昔から見慣れた女の子みたいな字体で『いのちゃんへ』と書いてあった。
いのちゃんへ
いのちゃんがこの手紙を読んでいるということは、俺はちゃんと死ねたってことだね。
死のうと決めた時お父さんとお母さんの他に誰に遺書を残したいか、思いついたのがいのちゃんでした。
だから、これを読んでるのがちゃんといのちゃんだったら嬉しいなぁ。
いのちゃんとは本当に小さい頃からの付き合いで、俺にとっていのちゃんはかけがえのない大切な存在。
俺がいじめられはじめてからも、いのちゃんは『俺はずっと光の味方だよ』って言ってくれて、本当に救われたし嬉しかった。
今までと変わらず俺と毎日一緒に登下校してくれて、優しくしてくれて、俺にはいのちゃんがいるから大丈夫って思えた。
だから、いのちゃんが俺のいじめに加担してるって知った時、本当に信じられなかった。
絶対嘘だって、そんなことあるはずないって。
けど、放課後こっそりいのちゃんをつけてみたら、俺の机に紙くずを詰めてたね。
その後も何度も後をつけて、その度にいのちゃんは俺に嫌がらせをしてた。
ねぇ、いのちゃん。
俺の味方だって言ってくれたのは嘘だった？
俺のこと、本当は嫌いだったの？
俺、他の人に嫌われるのは別にいいけど、いのちゃんに嫌われたらもう生きていけないよ。
ねぇ、いのちゃん。
俺、いのちゃんのこと、好きだったよ。
さよなら。
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作者名：ちゆひあにゃん | 作成日時：2018年8月27日 21時
