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大「お〜!!ちゃんと天の川見えるね!」
大都会東京にしてははっきりと見える星の川に感動して振り返ると「そうだね」とふんわり可愛い笑顔で返された。
自分で見たいと言ったくせにそこまで感動していないのを見て、やっぱりあれはただの口実だったのだと確信する。
でも、それならそれで良いんだ。
見たくないものを見て苦しむより、俺といて気が紛れるなら。
それにちょっとだけ、好きな人と星を見るというシチュエーションに胸が高鳴っていた。
伊「俺、運命とかあんまり信じてないんだけどさ」
唐突に話し出したいのちゃんは無表情で天の川を見上げたままだ。
伊「あの二人を見てると、ときどき運命ってあるんじゃないかって思う時があるんだよ」
“あの二人”が誰のことを指しているのか、聞かなくても分かってしまう。
いのちゃんの手が何かを掴むかのように宙に伸ばされる。
夜空に手を伸ばすいのちゃんがあまりに綺麗で儚くて、思わず息をのんだ。
伊「…届かないなぁ、いつまで経っても」
何か声をかけてあげたいけれど何を言っても正解じゃない気がして、ただただ綺麗な横顔を見つめることしかできない自分が悔しい。
俺がいのちゃんの好きな人だったら、幸せにできるのに。
抱きしめて、キスをして、『愛してる』って言って。
こんな顔、させないのに。
伊「…そうだ!せっかくだから七夕の願い事しようよ!」
手を降ろしてこっちを見たいのちゃんはもう、いつも通りのいのちゃんだった。
いのちゃんの笑顔に応えるように俺も笑う。
大「え〜?でも短冊とか笹とかないよ?」
伊「とりあえず天の川に願っとけば叶うんじゃね?」
大「なにそれ、テキトーかよ〜」
伊「ほらこう、祈りを捧げる感じで…」
いのちゃんがザビエルみたいなポーズでふざけ出したから俺も乗っかって、さっきの苦しい空気を忘れてしまうくらい笑い合った後、今度は真面目に願い事をした。
大「なに願ったの?」
伊「ん?『世界平和』かな」
大「なにそれ、ふざけてるじゃん笑」
伊「ハハ、ばれたか!大ちゃんは?」
大「ん〜?俺はね、『いのちゃんが幸せでいられますように』!」
伊「それもふざけてんじゃん笑」
いのちゃんはきっと冗談だと思って笑うけど、本当にそう願ったんだよ。
俺はいのちゃんが幸せなら、それでいい。
だからいつかその恋が叶うまで、七夕の願い事はいのちゃんために使うと夏の夜空に誓った。
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ちゆひあにゃん(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます…!素敵と言っていただけて嬉しいです(*^^*)このお話は大体書く内容が最初から決まっちゃってるので…短編集作りたいと思ってるので、そちらで書かせていただきますね!貴重なアイデアありがとうございます(*^^*) (2018年6月25日 0時) (レス) id: 0a49e2f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ - 前作のやまちねとても素敵でした…!!よかったらですが、大ちゃんと仲良くする知念ちゃんに山田くんが怒るけど、最後は甘い2人が見て見たいです…時間があればお願いしてもよろしいでしょうか?? (2018年6月24日 14時) (レス) id: 13aa0fd7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ちゆひあにゃん(プロフ) - 凛さん» お返事遅くなってしまい、すいません!コメントありがとうございます(*^^*)本当にノロノロ更新ですが、これからも読んでいただけたら嬉しいです! (2018年6月24日 3時) (レス) id: 0a49e2f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - やぶありの過激な裏も是非とも見たいなと思いました!この作品大好きです!頑張ってください! (2018年5月19日 9時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゆひあにゃん | 作成日時:2018年3月27日 21時