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桜の雨が降る頃に -in side- ページ1

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久しぶりの完全なオフの日の昼下がり。

普段はあまり乗らない電車に乗って、行き慣れた場所へ向かう。

電車には平日の昼だというのに色んな年代の人が乗っていて、思わず俯いてしまう。

けれど目立つキノコ頭を地味なグレーのニット帽で隠して大きめのマスクをすれば、誰も俺だとは気付かない。

最近染めた茶髪は色んな人に好評だけど、薮はあまり褒めてくれなかった。



人混みに紛れて駅から薮の家まで歩く。

空は日差しが少し眩しく感じるくらいの晴天で、立ち止まって目を瞑ると太陽の熱がじんわりと体中に広がるのを感じる。



伊「あぁ、春だなぁ」



道中に見つけた桜並木はもうすっかり満開で、風が吹く度にヒラヒラと花びらが散った。

ついこの間咲き始めたと思っていたのにもう散ってしまうなんて、時の流れは早いものだ。






オートロックの機械に部屋番号を打ち込むとしばらくして



薮「…今日は約束してなかったと思うんだけど」



と少し困惑した薮の声。



伊「どうしても話したいことがあって」



真面目な顔で言うと「しょうがないな」と言ってドアを開けてくれた。



薮「…急にどうしたんだよ、アポも取らずに。あと2、3時間したら知念来るんだけど」

伊「別にいいよ。すぐ帰るし」



そう言うとさらに困惑した表情になる薮。



薮「…とりあえず、上がれよ」







薮「…で、何?話したいことって」



薮がユラユラと湯気のたったマグカップを俺の前に置いて隣に腰を下ろす。

コップを口元に近付けると湯気と一緒にフワッと香る、ビターなコーヒーの香り。

一口飲むと口の中に広がる苦みが薮のキスの味に似ていて、胸がトクンと小さく跳ねた。

タバコといいコーヒーといい、薮は苦いものが好きらしい。


薮の家のリビングは本や漫画、アニメのDVD、サッカーグッズなどがごちゃごちゃと置かれていて実に薮らしい。

無機質で無駄な物が一切ない寝室に比べて薮らしさが充満しているこの部屋を、俺は結構気に入っていた。

けれどもう、この部屋に来ることはないだろう。



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ちゆひあにゃん(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます…!素敵と言っていただけて嬉しいです(*^^*)このお話は大体書く内容が最初から決まっちゃってるので…短編集作りたいと思ってるので、そちらで書かせていただきますね!貴重なアイデアありがとうございます(*^^*) (2018年6月25日 0時) (レス) id: 0a49e2f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ - 前作のやまちねとても素敵でした…!!よかったらですが、大ちゃんと仲良くする知念ちゃんに山田くんが怒るけど、最後は甘い2人が見て見たいです…時間があればお願いしてもよろしいでしょうか?? (2018年6月24日 14時) (レス) id: 13aa0fd7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ちゆひあにゃん(プロフ) - 凛さん» お返事遅くなってしまい、すいません!コメントありがとうございます(*^^*)本当にノロノロ更新ですが、これからも読んでいただけたら嬉しいです! (2018年6月24日 3時) (レス) id: 0a49e2f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
- やぶありの過激な裏も是非とも見たいなと思いました!この作品大好きです!頑張ってください! (2018年5月19日 9時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゆひあにゃん | 作成日時:2018年3月27日 21時

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