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伊「…ま〜た吸ってる。俺、タバコ嫌いだって言ってるじゃん」


いつのまにか戻ってきていた伊野尾が俺を見るなり顔をしかめる。


薮「…俺の家なんだし、俺の勝手だろ」


タバコをぐりぐりと灰皿に押しつけてシャワーに行こうとしたら、伊野尾が俺の腕を掴んだ。



伊「…俺、ホントに嫌だから、やめてよ」


泣きそうな顔で言われて、胸が苦しくなった。

散々利用しといて同情するなんて、俺は本当に最低な男だ。


薮「…ごめん」


その言葉だけを絞り出して、今にも泣き出しそうな彼から逃げるように部屋を出た。





俺が部屋に戻ってきた時にはもう、伊野尾はいつもの表情に戻っていた。

光みたいに目が充血しているわけでもなく、完璧なポーカーフェイス。弱さや本心を見せないのは昔から。


伊野尾はやっぱりブレない奴だ。



薮「お前さ、昨日男に抱かれた?」


ベッドに潜り込んで少し気になったことを聞く。


伊「…なんで?」

薮「昨日も一昨日もシてないのにナカ解れてたから」

伊「分かるもんなんだ、そーゆーの」

薮「まぁ、なんとなく」


答えになってるようななってないような曖昧な返事で誤魔化された。


薮「俺が焦らすから我慢出来なくなった?笑」

伊「眠いから寝る。おやすみ」


俺に背を向けて寝転ぶ伊野尾は不機嫌そのもの。
どうやらこの話題には触れて欲しくなかったらしい。

話すのを諦めて伊野尾に背を向けて寝転ぶと背後から「やぶ。」と小さく名前を呼ばれた。


薮「なに?」

伊「…薮の方が優しかった」

薮「…そっか」


そうか、手酷く抱かれたからこんなに弱っているのか。

だから彼らしくもなく泣きそうな顔であんなことを言ったのか。

きっとそれだけだ、と自分に都合が良いように解釈して目を瞑った。



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ちゆひあにゃん(プロフ) - 優子さん» いつもコメントをくださり嬉しいです!ありがとうございます!これからどんどん他のメンバーも登場するので楽しみにしててください!(o^−^o) (2016年12月31日 12時) (レス) id: 0a49e2f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。これから宏太君と光君と慧君と裕翔君どうなるか?気になります。 (2016年12月31日 7時) (レス) id: 2f2289b391 (このIDを非表示/違反報告)
ちゆひあにゃん(プロフ) - カフェモカさん» 読んで頂き、ありがとうございます!遅筆なので更新は遅いと思いますが、これからも頑張ります! (2016年8月16日 0時) (レス) id: ce5c6fe42f (このIDを非表示/違反報告)
カフェモカ - 面白いですね!これからも頑張ってください!応援してます! (2016年8月15日 10時) (レス) id: bb2b83d902 (このIDを非表示/違反報告)
ちゆひあにゃん(プロフ) - 優子さん» さっそく読んで頂けて嬉しいです!色んな人目線で色んな話が入ってくる予定です。これからもぜひ、よろしくお願いいたします! (2016年8月14日 11時) (レス) id: ce5c6fe42f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゆひあにゃん | 作成日時:2016年8月9日 15時

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