Beat② (ページ45)

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Diamond ページ45

nb side

多分、こいつにとっては嫌なタイミングだったと思う。

最近何となく仕事が少ない時期で、ちらほら来る能力絡みの依頼も精々3人くらい出せば片付くようなもんばっか。だから休みも多くて、俺は部屋に籠りがちになる。別に他の奴らと一緒にいるのが嫌って訳じゃないけど。

今日は確か佐久間と阿部と康二だったような。康二が能力禁止を言い渡されてて出掛ける間際に若干不満げだったのを覚えてるから、多分そうだったはず。

ずっと部屋で自分の機材のメンテとかしながら過ごしてたけど喉が乾いて、部屋から出るのに10分近く悩んだ上でリビングに下りた。1回籠もるとなんか、出るの面倒になるの何？

で、廊下に出た時に上からそいつが見えた。

基地…俺らにとっては家のここは無駄に凝った造りで、中央が吹き抜けになってるコの字型？知らんけど。そんなんだから、3階からも2階からも1階のリビングが見える。だからリビングに誰がいる、とかは態々下行かなくてもわかる。お陰で人探しは楽。

そこにいた目黒は救急セットを広げてたから、どっか怪我してんのかと思って声を掛けた。

nb「目黒ー、怪我？手必要なら貸すけど」

mg「あー…翔太くん。大丈夫なんで下りてこなくていいっすよ」

ならいいか、って思ったけど、どっちみち下に行くつもりで外に出たんだから階段を下りる。そしたら目黒が急に慌て出して、手に持ってた包帯ごと立ち上がった。
それで、なんか隠してんなって気付いてダッシュで下りる。

で、今。

nb「なんで逃げんの」

mg「いや、翔太くんこそ何で追い掛けてくんの。下りてこなくていいですって」

nb「俺は元々下に用事あったの。んで、何隠してんだよ」

mg「何も」

nb「嘘つけ。…んじゃ、手見せろよ」

mg「…チッ」

nb「今舌打ちしたろ」

mg「してないでーす」

すっと手を引いたあたり、やっぱ何か隠してる。
こうなると俺も意地でも知りたくなる。左から覗き込む振りして右から手首を掴んだらあっさり掴めた。けど、同時に目黒が顔を歪める。

nb「…目黒、手見せろ」

mg「ふは、だめだ。しょっぴーにはバレる。降参です。見たいだけどうぞ」