Beat② (ページ34)

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mg side

ラウールだけは、死んでも守らなきゃいけない。

そう思い始めたのは、ラウと一緒に過ごし始めてすぐのこと。

仕事で行った家に子供がいた。
子供って言ってもまぁ中学生くらいかな、って感じ。
依頼先から子供の話なんて聞いてなかったし殺してもよかったはずなのに、気付いてら勝手に連れ出してた。見えるとこにも痣が幾つかあったし、どうせ虐待されてたなら、って。

こいつの親を殺したのは、俺だからって。

こんな生き方してる俺と一緒にいたら、って思うこともあったけど、ラウは離れていこうとはしなかった。せがまれて渋々だけど銃の扱い方を教えた時に、向いてるんだって感じた。それも俺のせいだろうけど。

暫くしたら、俺が外に出てラウはその補佐、もしくは機械系の担当って何となくなってきた。
殺し屋から少し変わって何でも屋。まぁ結局、完全にはやめられなくて少しは続けてたけど。

そのくらいだった。ラウの能力に気付いたのは。

初めに変わったのは、ラウールの髪色。
黒髪だったはずなのに、朝起きたら白…というか銀髪に近くなってた。

次は使わせていた拳銃。
練習用のものだったけど、急に白くなってた。
カスタマイズしたのかと思ったけど違うらしい。

その次は家の中。
置いておいたものがふと失くなることが増えた。
俺が適当だから、あぁまた失くしたわって感じだった。

最後はラウールが、俺の目の前で。
白紙に適当に絵を描いてラウールが持つ。
見ててね、って言われたら、瞬きの間にその絵が消えた。
代わりに目から零れた血が真っ白な紙の上を汚した。

ラウ曰く、「白くする」らしい。
消す訳じゃなくて、白くする。だから色も変わるし、物も消える。

政府の下に研究所があるって知って、1回だけ強引にハッキングで情報を探ろうとしたことがある。
無事潜れたけど、ラウの能力に当てはまるものはなかった。
まだWが見つかってないらしいから、ラウが勝手に白から連想してWhiteって呼び出した。もしWが別にあったらどうすんのって聞いたけど、「その時はその時」だそうで。

でもなんか嫌な予感がして、それはあんまり使うなって言ってある。

ラウールを守ること。

これは俺が守らなきゃいけない、1つだけの誓い。

だから頼むから、死にに行くような真似はしないで欲しいんだよ。