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mg side
少し外した無線機から、ラウールの叫ぶ声が聞こえる。言いたいことなんて沢山ありそうな顔だったけどそれを我慢して走ってくれた。あいつは俺なんかより、ずっと賢い。
『ちょっと。俺は呼んでって言ったんだけど。逃してどうすんの？君1人で何かできんの？君が死んで俺が逃げたら、それこそ作戦失敗だよ』
mg「うるせぇよ。どっちにしろ目的は俺らなんだろ」
ガンホルダーに引っ掛けてる弾薬ケースから、手に持てるだけの銃弾を取り出す。さっきまで使ってたから少ないし、下手したら途中で切れるかもしれない。
ラウに言ったことは本当だから、ぶっちゃけ殺れる保証はない。傷すら微妙な気がする。でも今の俺に出来るのは、ラウの要請が受け取られるまでの間こいつの意識を逸らさせないこと。
mg「ほら、殺してみろよ。待ってるだけとか暇だろ」
『…バカみたい。でも、いいよ。最初に死んだ君を見て泣くお仲間の子を殺すのも悪くないよね』
ちょっと笑って挑発してやれば、案外短気みたいで乗ってきた。上にいるってことは近接じゃない。つまりは相手も俺と同じ。
先手必勝、って言うんだっけ。この前阿部ちゃんが言ってたやつ。とにかく先に攻撃、って思って、俺は能力を使う。手の中の銃弾を全部あいつの方に飛ばす。やっぱり避けられて、逆に銃弾が降り注ぐ。あ、佐久間くんが見せてくれた漫画みたいかも。マジの銃弾の雨ってやつじゃん。
『お、避けた避けた！凄いね君！ちゃんと見てるんだね！』
声的には幼い気がする。けど見た目は普通の男っぽい。ちょっと遠いからイマイチわかんないけど。なんか言ってるのを無視して、また銃弾を引っ掴んであいつに撃ちまくる。同じタイミングでこっちに撃ってきたからそれを後ろに飛び退いて避けた。
マシンガンみたいに連続で撃てなさそうだしワンチャンあるって思ったのがいけなかった。もう片方の手にいつの間にか同型の拳銃が見えて、発砲音が響く。避けた直後の身体はちょっとバランスを崩していて、膝に弾丸が直撃した。
mg「ってぇ…」
『あはは！残念、俺の勝ち！痛いよねぇ、わかるよ。俺も沢山痛かったから。でもね、だからね、俺は殺すんだよ！だから君はここで終わ』
mg「…？」
調子よく喋ってた男の声が消えた。痛みを堪えてまた撃とうと構えてた俺は、その違和感に気付いた。男は声を発さず、ぴくりとも動かない。この感じ、見たことある。
nb「ばーか！うち自慢のガンナーが食らってんじゃねぇよ」
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作者名：しあ。 | 作成日時：2020年9月29日 19時
