Beat (ページ12)

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dt side

カーテンから差し込む朝日を浴びて小鳥の囀りに…などというほど、優雅なものでもないが。
目を覚まして、階下に降りる。
手始めに1人分の珈琲を淹れてから冷蔵庫を開けるのが、いつもの流れ。
緊急の任務さえなければ、毎日朝夜は同じ食卓を囲むことも、いつの間にか習慣になっていた。
簡単にレシピを決めたら時計を見て、カップをもう1つ。
それはもう少し後に起きてくるはずの人物の為、だったのだが。

ab「…おはよう、舘さん」

dt「おはよう。でも阿部、寝てないでしょ」

ab「うわ、顔見てないのにバレた」

dt「そのくらい声で分かるよ。朝食、遅らせる？」

ab「いや…申し訳無いからいい。今日のは俺の趣味だから」

階段を降りる音が不規則で危なっかしい。
ここに阿部が来てから幾度も見た姿ではあるのだが、だから良い、という訳ではないと思う。多分。
確か、昨日の朝もほとんど同じ光景を見た。
明日はすぐに寝る、と言っていたのは何だったのか。

dt「食べたら二度寝でもしなよ」

ab「ありがとう。取り敢えず珈琲貰っていい？」

dt「いいよ。淹れてるから待ってて」

趣味と濁したが、夜通し何か調べていたのだろう。
いつもよりほんの少し甘めにした珈琲を渡すことにした。