中原幹部はかっこいい。(切実)

〈だれかの心臓になれたなら〉中原×太宰 ページ10

“こんな酸化した世界”と嘆くだれか(太宰)の
生きる理由になれるでしょうか。
…此れは、俺が彼奴に贈る事の出来る、最初で最期の愛の言葉だ。







「バケモノ！」

「こっちに来ないで！！」

街も人も歪み出す。俺は化け物なんだと気付いた。
それでも生への欲動は終わらなかった。
何もかもが此の汚い目に映った。

「誰も彼も踊らされているのだよ。」

生まれた意味だって知らねぇのに、
形骸化した夢は錆び付いて仕舞った。

“愛を下さい”
きっと誰もがそう願っていて、
叶った奴も叶わなかった奴も居るだろう。
そんな時、彼奴が俺の手を取った。
其の優しさが、醜いくらい美しい愛が、
俺の心を深く抉った。

「こんな酸化した世界。生きていたくなんかない。」

「…いつか、終わっちまうんだよな。」

「やっと、気付いたの？」

そう気付いた時から、
彼奴は俺にとって心臓だった。

「ねぇ、もう此の侭、雨に溺れたって、藍に融けたって構わないから。
だからさ。もう一度、僕に傘を差し出して笑ってみせてよ、中也。」





もしも、夢から覚めなければ、
あの時と姿を変えずにいられたのかな。
あの時、手を離れた冷たい温度を覚えてる。
何時になっても、血を巡らさせるのは、君の思い出。

雨に濡れた廃線。
煤けた病棟に、並んでる送電塔。
夕暮れのバス停。もう止まって仕舞った観覧車。
机に咲いた話も、君の声も。
何もかもが、最初から無かったみたい。


「死にたい僕は今日も息をしているのに、
生きたかった君はもう明日を見失っている。
いずれ死ぬのが人間だ。
…なのに、どうして悲しいのだろう。」


矢ッ張り、永遠なんて無いし、
思い通りの日々、なんてのも無い。
でも次の夜明けは必ず訪れる。

「こんな酸化した世界でも、
…いや、どんな世界でも“君が居るなら”生きていたいって思えたのだよ？
僕の心の中にある地獄で、君は僕を生かす心臓だ。」

何時しか君が呉れた様に。

「“私”も、だれかの心臓になれたなら。」









人を救う仕事が出来ますか？
誰かの心臓(生きる意味)になる事が出来ますか？
…こんな“私”でも。









ーーーーー


「人を救う仕事が出来ますか？」は織田作のお陰だ！って人はごめんなさい。
今回は中也が死んだ事で色んな事に気付き人を救う側になる太宰さんのお話です。

ボカロの「だれかの心臓になれたなら」を、
自己解釈で中太に引っ張って書きました。
聞いたこと無い人は是非聞いてみて下さいね！

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