中原幹部はかっこいい。(切実)

〈怨んだ日〉中原×芥川 ページ25

「中也さん。もしも…
僕達に普通の人には無い超能力があったら如何しますか？
僕達が極悪非道のマフィアだったら如何しますか？」

人気の無い屋上で芥川が一つ呟いた。

「超能力にマフィア？
何だ？詐欺にでも引っかかったか？」

超能力なんか信じてすらいないと云いそうな勢いで云う。

「…でもまァ…
其の力を持って居ても、どんなに此の手を汚しても、
俺は芥川と一緒に居るだろうな。」

「僕と…ですか？」

「嗚呼。所詮、何も変わりゃしねぇんだよ。
どんなに状況が変わっても、俺は手前をずっと愛してる。
其れで充分だろ？」

少し切なげな笑みを残し、中原が云った。
芥川は其の微笑みに吸い込まれそうになる錯覚を覚えた。

「中也さん…
どんな世界でも、一緒に生きて下さい。」

「…嗚呼。そうだな。
でもいきなり如何したんだ？こんな話。」

明らか、毎日話す様な内容では無い。

「僕…最近、全て思い出しました。
街中で見かけた外套(コート)が前と似ていて買いました。」

突然な話についていけない中原とは対照的に、
芥川は話を進める。…鞄から黒い外套(コート)を出し乍ら。

「前…？」

中原の心臓が大きく音を立てた。
次の瞬間、中原の頭の中には膨大な情報の波が押し寄せていた。




弱者は死ね。死んで他者に道を譲れ




宴は始まったばかりだぜ!




あの人にあの様な事、二度と云わせぬ!




さァ、重力と戦いてェのは何方だ?




羅生門/重力操作!




「思い出してましたか。
中原幹部。」

外套をたなびかせて中原を見る芥川の顔は…

「芥川…」

「貴方は強い人だった。僕としても敵わぬ程。
強い人は好きです。自分を置いていかないと思ったから。
でも貴方は、僕を置いて行った。
其れも、何処とも知れぬ連中に殺され。」

云うべき事があるかも、と中原は考えたが、
何も…思いつかなかった。

「貴方には僕の辛さなど判らぬ。
だから判らせてやろうと思ったまで。
貴方の為に命を散らすなら其れも本願。」

「手前、何云って…」

「最期のお願いです。生きて下さい。…さよなら」

「待ッ…」

芥川の姿は、屋上の柵の外に映り…そして消えた。
暫くして、誰かの悲鳴が聴こえた。

「何…で…」

其の日は、綺麗な夕焼けの日だった。
其の日は、中原にとって忘れる事の出来ない日になった。
其の日は、前世から今世にかけて中原が…









初めて重力を怨んだ日だった。

〈Lemon〉中原×中島→←＊(結構ピンクです。ご注意を)

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