楽しみなお散歩 ページ14
「ユンギ先生っ、ユンギ先生！」
ユンギ先生を今日は貸し切るつもりで来た。休憩時間になった途端、猛ダッシュで先生のところに向かう。
YG「やー走るな走るな」
「先生、病院の中で散歩しましょう！」
YG「…少しだけだぞ」
はい、勝ちました。皆さん今日はこの私がユンギ先生の休憩時間を貸し切ります。
小児科病棟の前を通るとハユンちゃんが見えた。どうやらハユンちゃんのお母さんらしき人と一緒にいる。初めて見た、遠くから見ても美人…。
ハユンちゃんもお母さんもすごく嬉しそう。そりゃあ嬉しいよね、久しぶりにお母さんが来てくれるんだから。
「ハユンちゃんのお母さん、初めて見ました」
YG「あー、お母さんじゃないぞ。施設の先生だ」
「えっ…？」
YG「ハユンは孤児なんだ」
「でも、すごく幸せで楽しそう。いいなぁ…きっと毎日楽しくて、落ち込んでる時は励ましてもらえて、いっぱい抱きしめてもらえるんだろうなぁ」
YG side
俺はまだ、Aの親を見たことがない。書類には一応、実の両親が共に居ると書いてある。でもあいつはいつも、子供連れを見て寂しそうな、なんとも言えない顔をする。
親の愛に恵まれない環境で育ったのだろうか。それともまた別の何かがあるのだろうか。
Aが小さい子供のように見えて、ほっとけなくなった。どうにかしたくてAの肩にそっと手を置いて、別の場所に行こうと促した。
きっとこいつは人の心を読むのが上手いから、俺が気を使ってんのも分かってる。けどこれぐらいしか俺に出来ることはない。
「明日ね、お母さんが会いに来るの」
YG「…そうか」
俺は、それしか言えなかった。
どんな親なのだろうか。何故Aは、他の家族を見るたびあんな顔をするのだろうか。
俺に、それを知る資格はあるのだろうか。
Your side
明日はお母さんに会える日。少しだけどきどきする。お母さんが作った料理、また食べたいなぁ。最近は病院のご飯しか食べてないから笑
お母さんはたまに、あんまり嬉しくないことを言う。褒めてもらった記憶もあんまりない。今さら褒められても、抱きしめられても逆に怖い。だから私もちょっとだけ距離を置いたりするけど
それでも、それでも好きだよ。
だって私のお母さんだから。
明日はどんな服を着て会いに来てくれるのかな。
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作者名：-snow- | 作成日時：2021年9月5日 22時
