魔法少女と重力少年。

＊ ページ3

『なァ、魔理沙って魔法が使えるのか？』

「嗚呼。此処の世界の1部の人は能力を持ってるんだ。
私の能力は、“魔法を使う程度の能力”だ。」

『此方の世界にも能力ってあるんだな…』

程度って…魔法使えたら充分凄くねェ？

「中也が居た世界にもあったのか？能力。」

『嗚呼。正しくは異能力。
俺の能力名は“汚れつちまつた悲しみに”。
重力の重さとベクトルを操る事が出来る。』

「重力…？」

良く分かってないらしい魔理沙。
眉間に皺寄ってんぞ。

『簡単に云えばこういうこった。』

魔理沙に軽く触れて笑う。

『“汚れつちまつた悲しみに”。』

「うわああ！？
凄いのぜ！私は箒が無いと飛べないから羨ましいぜ。」

『何だ、手前も飛べんのか。』

何とも魔法使いらしい…

『なァ、魔理沙の魔法も見せて呉れよ。』

「好いぜ！
じゃあ一寸外に出るか！」

外に出る時に帽子と箒を取った魔理沙。
…完全に魔女だな。
机とかにも本が沢山あったし…魔導書って奴か？
歩き乍ら魔理沙は喋り出す。

「幻想郷の1部の奴は“スペルカード”を使う事が出来るんだ。
私も使えるが、其れは又今度。魔法って云っても簡単なものだ。」

指を動かして、炎を出したり水を出したり。
…此れの他に“スペルカード”も使えるのか？
幻想郷はヨコハマみてェに能力者が沢山居るんだな…

『凄い、な。』

「中也に云われると嬉しいのぜ！
そういえば、中也の居た世界はどんな処だったんだ？」

『俺が居た処はヨコハマって処なんだ。
ヨコハマは異能力者も多かったし、
何より銃や爆弾が林檎みてェに簡単に買える魔都だった。
そんな街で俺はある組織に就いてヨコハマを守ってた。』

「ある…組織？」

此れを云ったら魔理沙は俺から離れていくだろうな。
…自業自得だ。俺はそういう人間だったんだ。

『俺が所属していたのはポートマフィア。
夜のヨコハマを取り締まる組織だ。所謂、闇組織。
人殺しやら拷問やら…色んな事をしてきた。
俺は其処で幹部をしてた。
…軽蔑しただろ？好いんだぜ、追い出しても。こんな男。』

暫く、魔理沙は黙っていた。

「追い出す筈無いだろ。
中也はヨコハマを愛してたんだろ？守る為に必要な事だからやったんだろ？
なら、中也は優しい奴だ。唯、ヨコハマを愛してただけの。」

『ククッ…
手前は面白ェなァ…そんな事云うの手前だけだぜ。』

笑っていないと泣いちまう気がした。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す