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-side Chuya-
先刻からウキウキしてる俺の嫁。
…可愛い。
『おい、一寸落ち着け。』
「いやぁ…嬉しくって…」
『良かった良かった。
なんか手前暗かったから。』
此の話をするまで、隠してたんだろうけど、
何処か暗かった。
「え…?」
『なんかあったのか?
云ってみろ。』
「…実は…今日、さ。
私の父親の命日なんだよ。」
魔理沙の…父親…
『…そうだったのか。
母親は?』
「小さい頃に出て行った。
ずっと父子家庭だったんだよ。」
此奴、両親に恵まれてないのか…
『じゃあ暗かったのは、
今年は墓参りに行けなかったってことか?』
「…一回も、行けた事無いんだ。」
『…一回も…?
何で…』
俺は魔理沙から全て聞いた。
母親は他に男を作って出て行った事。
其れが原因で父親が豹変した事。
父親に…虐待されていた事。
『…そう、だったのか…』
何も、云えなかった。
「辛かったな」と云えば、唯の同情のような気がして。
「大変だったんだな」と云えば、他人事のような気がして。
「家で虐待はされたけど、
家から出れば、霊夢と咲夜が居た。
あの2人は私の幼馴染なんだ。いつも、助けてもらってた。」
でも、聞いてて気付いた事がある。
『魔理沙、もう逃げるんじゃねぇ。』
「!」
『手前、怖いんだろ。墓参り。』
「…そりゃ、そうに決まってるだろ!?
ずっと、愛されてないと思ってたのに、
最期は私に愛してた、ごめん、って!!
ずっと、私は要らない子だと思ってたのに、
遺品からは私との思い出のものばかり見つかって!!
ずっと、恨む程大嫌いだったのに、
今となったら会いたくなるんだよ!!!
でも、怖い。怖いんだ。父さんはもう居ないっていう事実も、
父さんに拒絶されるかもっていう有り得ない考えも。
だから…だから…!!」
必死に言葉を紡ぐ魔理沙を自分の胸に引き寄せる。
『大丈夫、大丈夫。
魔理沙の親父さんはちゃんと魔理沙を愛してた。
ただただ、不器用過ぎただけなんだよ。
愛の伝え方が分からなかったんだ。』
「とう…さ…」
『だから、行こう。墓参り。
俺も行くから。2人で行こう。ちゃんと気持ちぶつけろ。
だから…絶対に研究…成功させるぞ。』
「勿論!」
泣き出して仕舞った魔理沙は其の侭、
俺の胸で寝息を立て始めた。
『手前が親父さんに会えない代わりに、
彼奴等が行って呉れてるんじゃねぇか?
きっと、な。だって…幼馴染、なんだろ?』
分かったのか分かっていないのか、
魔理沙は柔らかく微笑んだ。
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みるくれーぷ。 - 綾音さん» 言葉足らずでした…申し訳無いです。なんかこう、イメージとしてはスライドしてって沢山の写真を見せてる感じです。分かりにくくてすみません! (2018年10月15日 12時) (レス) id: 830fe45671 (このIDを非表示/違反報告)
綾音 - まだ六話までしか見ていないのですが、とても面白いです!しかし、六話で出てくる写真のことですが、織田作がいるということは鏡花ちゃんは勿論、樋口さんやAもいないと思います…2つ写真がある、と言う設定ならすみません!これからも頑張ってください! (2018年10月14日 21時) (レス) id: be00f2b1a0 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷ。 - 更新遅れてすみません(-。-;体育祭があったもので…でも、喜んで貰えたのなら幸いです(*゚▽゚*) (2018年9月9日 20時) (レス) id: 54a1816a2e (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - やったー!続きが出てる!ヽ(*^ω^*)ノ (2018年9月9日 19時) (レス) id: 07f01030e1 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷ。 - ゆうさん そんなそんな!読んでくれるだけで嬉しいのにコメントまで…!本当にありがとうございます!!これからも更新頑張ります! (2018年8月22日 22時) (レス) id: 54a1816a2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷ。 | 作成日時:2018年7月31日 20時