こい.その２ ページ38
____テスト後___
「秋川くん！...ってあれ？」
教室に秋川くんの姿はない。
それどころか、秋川くんの机には鞄がかかっていなかった。
帰ったのかもしれない、と思い、
他の人に聞いてみようと思った。
ちなみにこのクラスで喋ったことのある人は一人もいない。
「あの、秋川くんどこ行ったか知りませんか？もしかして、もう帰っちゃいましたか？」
顔を見合わせる男子二人。
「「秋川なんて、このクラスにいねぇよ。」」
「...え？」
「あー気付かれちゃった。」
振り返ると、秋川くんが立っていた。
「あ、秋川くん！どういうこと？もしかしていじめられてたりするの？」
フッと微笑んで、
首を横に振った。
「違うよ。彼らの言った通りだ。僕はこのクラスにはいない。」
「だから、どういう...。」
「ねぇ、Aさん。僕は、君のことが好きだった。これじゃ、答えにならないかな？」
頭が真っ白になる。
彼が私のことが好き？
早く、返事しなきゃ、
『私も好きです』__そう言おうとしたのに、
舌が口の中に張り付いて言葉が出てこない。
「...うん。答えはなくていいんだ。むしろ答えないで。連れて行きたくなってしまう。」
悲しそうな顔で笑うと、教室を出て行った。
しばらく呆然としていると、周りの音が戻ってきた。
その時、気がついた。
秋川くんと話している時、驚くほど誰もこちらに注意を向けなかったこと。
秋川くんが他の人と話しているのを見なかったこと。
教室の雑音が綺麗に取り払われていたこと。
全部、説明がつく。
その日から、彼を見ることももう、なかった。
『...私は何に恋したんだろうね。でもさ、初恋は実らないって、本当なんだなって、その時思ったよ。』
ゴソゴソと鞄を漁る。
取り出したのは手のひらサイズの黒い箱。
『あ、あとこれ。預かっておいてくれない？秋川くんのコンパス。...見るたびに思い出しちゃうからさ、多分、まだ吹っ切れてないんだろうな。』
あんたなら、信用できるしね。
そう言った友人とは引越しなどで疎遠になってしまったが、
私に話をしてくれた彼女の顔は忘れられない。
今でも、秋川くんのコンパスは私の引き出しに仕舞ってある。
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ハルキ(プロフ) - ましろ（仮）さん» 楽しんでいただけて、何よりです！えーっと、間違いと取られてしまっても仕方がないのですが、何分、田舎暮らしのもので、変なところ訛ってるんですね。すみません、わかりにくくて...。これからも頑張ります！ (2016年10月15日 19時) (
レス) id: bbf3e98df8 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ（仮） - めっちゃ面白い！(ﾟ∀ﾟ) あ、『守護者』ってやつの｢やっば、あと少しで授業じゃ！！って授業じゃん！！なのでは…間違っていたらすみません！とても面白いです(*´ω`*) (2016年10月15日 17時) (レス) id: 34b669008b (このIDを非表示/違反報告)
オロチ三兄弟+エンマらぶ(プロフ) - あぁ。よかつたね０の意味がやっとわかりました!! (2016年8月11日 20時) (レス) id: 3118c2103e (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - あいす。さん» 作品の説明欄にも載せましたが、そちらに解説コーナーを開設いたしました。そちらへどうぞ。 (2016年8月11日 18時) (レス) id: bbf3e98df8 (このIDを非表示/違反報告)
あいす。(プロフ) - すごいです！！ところで1番最初のお話の解釈お願いできますか？汗 (2016年8月10日 13時) (レス) id: d69731b068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルキ | 作成日時：2016年6月19日 15時
