伝えたいのに伝わらなくて (ページ30)

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想ページ30

「俺、Aちゃんのことが好き。」

時が止まったように感じた。

良樹の見たことの無い真剣な大きな瞳も

力強く握られた両手も

私を戸惑わせるには十分すぎる。

なのに、なのに。

どうして。私の片想いじゃないの？

いや、きっと聞き間違いだ。

貴「………え?」

村「だーかーーらーーっ!! 好き!!」

良樹は耳も首筋も紅く染めて視線をぷいっと逸らして言い放った。

神様。

こんなに幸せな事があって良いんでしょうか。

好きな人に告白されるなんて。

これは夢でしょうか。

痛い。

頬をつねったけれど普通に痛い。

貴「私も好き…」

気づけば私もそう言っていた。

周りが呆れたようにラブラブかよ、なんて言う声も聞こえている筈なのに目の前の彼しか見えなくて。

それくらい彼に溺れている。

村「え? マジで言ってる? 本気? 絶対?」

貴「ほんと。私良樹が好き。」

村「…………………」

暫く俯いて黙り込んだ後良樹は

貴「良樹?」

村「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

天井を突き破るんじゃないかと言う程の声で叫んだ。

紀久にうるせぇよって頭を叩かれてる。

そんな彼の姿さえも愛おしく感じる。

窓の外には、彼のように透き通る真っ青な海と

真っ青な空が広がって

彼の笑顔のような向日葵が

笑っていた。