君の傍に居続けたい (ページ17)

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心ページ17

夜も遅くなってしまった

この時間は危険がたくさんあるためこのまま村で泊まることになった

まさかセノさんまでいてくれるとは思わなかったけど

アクアもそろそろ元の赤ん坊に戻るだろうから

少しの時間だけでもセノさんと一緒に居させてあげたい

覚えてるかは分からないけどね

テントの中、寝静まった頃スカラマシュが寝転がって私に体を向けた

放浪者「眠れないかい？」

『ちょっとね。
寝るのに時間かかっちゃうかも。』

放浪者「おいで、高いところに連れてってあげるよ。」

起き上がったスカラマシュは私に手を差し伸べた

私は起き上がって彼の手を取った

そしてテントを出てスカラマシュに抱き締められて上へと登った

スカラマシュの浮遊能力ってすごいよね…

私でも飛べないからすごいよ

大きな木の上までやってきて太い枝の部分に二人で腰掛けた

『綺麗だね！』

放浪者「綺麗…？」

『スカラマシュは思わない？』

放浪者「なんとも思わないよ。だって僕は君よりも心がないんだから。」

またそんなこと言ってる…

意志を持って行動できる人形なんて人間と同じなのに

ただ人間よりも強度で長寿なだけなのに

スカラマシュは心がないと自分で決めつけてる

私は彼に会ってから君には心があるよと言い続けても

未だに分からないのがスカラマシュ本人だ

私の方がいろいろなことに関して感情を持つから比べてしまってるんだと思う

だけどそれは私が目覚めたばかりで見るものすべてが初めてだからだと思う

『スカラマシュ。』

放浪者「ん？」

私は彼にキスをした

すると彼は顔を赤くしてびっくりしている

久しぶりに見たかもその顔

『どう思った？今。』

放浪者「……別になんとも思ってない！」

『嘘言わないで。』

放浪者「驚いた…それにすごく胸が熱くて苦しい。」

『私も同じだよ？ほら、スカラマシュだって心あるね！』

そう言って笑うと

スカラマシュは馬鹿じゃないの…と言って

私を抱き締めた

人間はこういう時心臓というものが早く鼓動するんだったね

私には心臓がないからそんなの感じられない

だけどすごく温かい気持ちになるのは分かる

今感じているものはスカラマシュもきっと感じてくれてるはずだ

『君には心がある？』

放浪者「あるよ。なかったら君のことを愛せない。」

そう言ってスカラマシュは私に深くキスをした

私はちゃんと彼の愛を受け止めた

そしてこのやり取りを見ていた人物がいたことを私たちは知らない