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食べ歩きしたり出店を楽しんでいたAが一番目を輝かせたのは、ガラスの中に桜をそのまま綴じ込めたような美しい置物だった。
店主に詳しく話を聞くと、毎年セレッソルスが散り始める前に加工用に桜を一枝分だけ保存し前年から一年間練ったデザインを元に数日かけて作られるのだと教えてくれた。
花だけのものもあれば、枝がついたものまで様々な品は全て一点物で、毎年2〜3個程しか作られない上に特殊な加工技術も必要なため他の雑貨よりもかなり値が張る。
ただ、大金を出すのは当然だと思うくらいどれも素晴らしい品物だった。
Aも品物を一つ一つじっくり眺めながら、感嘆のため息をついている。
「どれが欲しい？」
「えっ」
「セレッソルスを綴じ込めた貴重な品だ、この島で花見をした記念に欲しくないか？」
「うっ、」
黙りこんだAはたっぷり悩んでから店主に頭を下げた。
「ごめんなさい……きっとこれを目当てに訪れる観光客もいると思うので、やめておきます」
「そうかい」
「いつかまたご縁があったら、その時は是非」
「待ってるよ」
店主は嫌な顔せず俺達を見送り、手を引かれ歩き出した俺が不満げな顔をすればAは困ったように笑った。
「気に入ったんなら買えば良かったろ？」
「確かにとても素敵な品だったけど……いいの」
「金なら気にしなくて良いんだぞ？」
「うん、でも何か違うと思ったからいいの」
「違う？」
「本当にまたご縁があるなら、いつか見た瞬間にこれだって思うものに出会えるはずだから」
そう言いながら首元に触れたAは、ほぼ毎日あの貝殻を加工したネックレスを着けていた。
首元にちらりと輝く華奢なチェーンを見つける度に、俺は服の下に隠されたそれを思い出していた。
「……あ、いい香り」
ふと立ち止まったAが次に寄ったのは、お洒落なボトルや包みが並ぶ店だった。
「いらっしゃい！桜の香りの香水はいかがですか？」
シャンプーや香水などの様々な美容品は全て桜の香りのエキスが入っているらしい。
色も淡いピンクで可愛らしく、女が好みそうなものだった。
「あぁ、なるほど。島の女性達が付けてるのはこれですね」
「そうよ」
すれ違う女性達やベックからもこの香りがしたと言うAは香水のテスターを嗅いでいい匂い、と呟いた。
「買うか？」
「……うーん、これはちょっと」
渋るAに首を傾げていると、店主は包みを指し
た。
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ちょこ(プロフ) - kaito11さん» ありがとうございます！引き続き続編もよろしくお願い致します！ (2023年5月6日 22時) (
レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
kaito11 - この作品大好きです！これからも更新楽しみにしています！ (2023年4月28日 18時) (レス) @page50 id: a5ae7a5cae (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - NATSUさん» いつもありがとうございます！ (2023年4月15日 17時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
NATSU(プロフ) - 続きがとても楽しみです。 (2023年4月14日 22時) (レス) @page45 id: 01b4412dd0 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 白雪さん» 初めまして、大好きと言って頂けて本当に嬉しいです。更新の励みになりました！ (2023年2月27日 21時) (レス) @page28 id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作成日時：2022年12月18日 19時
