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「Aの様子を見てくる」
「ああ、五回は深呼吸してから行けよ」
歩き出したところでかけられたベックの言葉にピタッと立ち止まると、それはそれは深い深呼吸を十回はしてから宿へ入っていった。
部屋に入ると毛布にくるまるAを診察するホンゴウと、二人に背を向けて手を冷やし続けるエドガーとそれを見守るルウがいた。
「……怪我したのか？」
「……っ」
「お頭、覇気出てる」
ルウに肩を叩かれ俺を見て青ざめ震えるAにハッとし、すぐに気を沈めた。
何のために深呼吸してきたのか忘れたわけではないのに、やらかした。
「……悪い、大丈夫か？」
小さく頷いたAとため息をつくホンゴウに眉を下げながらもう一度謝った。
「……あの、ごめんなさい。
せっかく買って貰ったコート、汚しちゃって……
今、宿の人に洗ってもらってて」
「コートならいくらでも買ってやるし気にしなくていい。
そんなことより足はどうした？」
「これは……
えっと、汁がちょっとかかっちゃって」
「少し赤くなってるから冷やしてた。火傷ってほど酷くないから大丈夫だ。薬を塗ったらすぐに落ち着く」
ホンゴウの言葉にホッとすると、Aの首裏に湿布が貼られているのに気付いた。
「……それは？」
「……ちょっと転んだときに痛めて」
「あの茶髪の女に押されて転んだんです」
「エドガーさん……」
軽めに報告するAと一部始終を見ていたらしいエドガーの報告にため息をつくと、困り顔でエドガーを見ていたAが肩を少し揺らした。
「頬も叩かれたのか……A、あんまり危ないことはしないでくれ」
「……ごめんなさい」
「何があったか全て話してくれるか？」
小さく頷いたAが事の顛末を話し終えると、エドガーとルウに頭を下げた。
「ルウの作ってくれたおでん無駄にしてごめんなさい……あんな風に粗末にされるなら私が食べたかった。
エドガーさんも、庇ってくれてありがとうございました。大事な手を怪我させてしまって申し訳ありません。
……お願いだから、もう二度と私を庇うために怪我しないで」
震える声でそう言ったAの顔は今にも泣き出しそうなのを堪えるように歪められていて、俺達は何も言えなくなってしまった。
「……Aも俺達のために怒ってくれてありがとな」
自分が傷ついても人のために怒れるAは本当に優しくて、良い女だ。
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ちょこ(プロフ) - kaito11さん» ありがとうございます！引き続き続編もよろしくお願い致します！ (2023年5月6日 22時) (
レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
kaito11 - この作品大好きです！これからも更新楽しみにしています！ (2023年4月28日 18時) (レス) @page50 id: a5ae7a5cae (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - NATSUさん» いつもありがとうございます！ (2023年4月15日 17時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
NATSU(プロフ) - 続きがとても楽しみです。 (2023年4月14日 22時) (レス) @page45 id: 01b4412dd0 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 白雪さん» 初めまして、大好きと言って頂けて本当に嬉しいです。更新の励みになりました！ (2023年2月27日 21時) (レス) @page28 id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作成日時：2022年12月18日 19時
