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ドクターと入れ替りで医務室へ入ってきた赤髪の男は椅子をベッドから少し離した所に置いて腰かけた。
「よう、A。
……気分はどうだ？」
名前を呼ばれて目を瞬かせたが、そういえば名乗ったような気がすると思い出し小さく頷く。
「俺の名前は覚えてるか？」
少し振り返ってみて名乗られた気はするが、名前までは覚えていなくてぎこちなく首を振った。
「いや、ゆっくり休めたようで何よりだ。
俺の名はシャンクス」
赤髪の男改めシャンクスさんは笑顔で名乗ってくれた。
声は出そうにないので小さく口を動かしてシャンクス、と呟く。
「……あー、悪かったな。
俺がもっと早くAを見つけていたらそんなに怪我とかしなくて済んだかもしれないし……
あと、口移しで薬を飲ませたことも」
そう言われ、私は驚きで目を見開いたまま固まった。
そんなことで謝られるとは思ってもいなかった。
悔しそうに顔を少し歪めたシャンクスさんに私はゆっくり手を伸ばした。
私の手を見つめたまま動く気配のない彼に両手を差し出すと、戸惑いながらもちょんと私の手に指先を乗せた。
触れた指先をそっと引き寄せ両手でぎゅっと握りしめると、シャンクスさんは驚いて手を引っ込めようとしたので離さないようにもう一度ぎゅっと握りしめた。
「っ……り、が……とう」
僅かに揺れる彼の目を見つめながら声を絞り出すと、彼は口をあんぐりと開けて固まった。
「あり、がと」
頭を下げ両手で握りしめた彼の手を感じながら、もう一度感謝を告げる。
しばらくしてから顔を上げるとシャンクスさんは困ったような笑顔を浮かべていた。
「……お年寄りや女子供は守られるべき存在だ」
私をまっすぐ見つめながらぎゅっと手を握り返してきた彼を優しい人だな、と思った。
自分より弱い人を無理矢理傷つけるようなあの男達とは違う。
まだよく分からないこの状況でもお頭と呼ばれていたシャンクスさんが、助けてくれた他の人達から慕われているのだろうということも分かった。
私は殺されていたかもしれない命を彼に拾ってもらったのだ。
右も左も分からないこの世界で私が生きていくことはきっと難しい。
またすぐ危ない目にあって今度こそ殺されるかもしれない。
それでも、まだ生きていることに安堵せずにはいられなかった。
私は熱くなった目の奥から涙が溢れないよう必死で堪えたのだった。
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ちょこ(プロフ) - planetbluep379さん» ありがとうございます！月末までバタついているので更新遅くなりますが気長にお待ちくださいませ🙇♀️ (2022年9月15日 10時) (
レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
planetbluep379(プロフ) - 続き待ってました✨嬉しい！頑張ってください😁 (2022年9月14日 9時) (レス) @page43 id: 6277eb3c9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - シンヤさん» ありがとうございます！ (2022年9月6日 16時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています😊 (2022年9月6日 0時) (レス) @page39 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 白雪さん» はじめまして、コメントありがとうございます。お話は順次公開していきますので気長にお待ちください🙏 (2022年9月2日 17時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作成日時：2022年7月7日 23時
