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雨が止み、夜明けと共に船を出した。
しばらく様子を見て船を落ち着かせ、日が昇りきる頃に一度部屋に戻り休むと久しぶりにぐっすり寝た。
昼過ぎに食堂へ行くとドクターが待ちくたびれた顔で話しかけてきた。
「やっと起きてきたか……あんたと話すのをAが待ってる」
「本当か！？何でもっと早く起こさないんだよ！」
「無理やり起こしたらめちゃくちゃ不機嫌になるのは誰だ？」
そう言うドクターの声は聞こえないフリをして食堂に入りかけた足を医務室に向ける。
後ろからドクターとベックが着いてきたが、食堂にいた仲間達も心なしかそわそわしているようだった。
医務室のドアを開けると足を抱え椅子に座ったAが窓の外を眺めていた。
何でもないこの光景が神秘的に思えて思わず足を止める。
差し込む光がAを包み、伸びる影がなかったらAが存在していることを忘れてしまいそうだった。
「具合が悪くても天気が良いとよく窓の外を眺めていたよ」
そう言うドクターにハッとして止まっていた足を動かし静かにAに近付く。
「待たせたな」
声をかけるとゆっくり振り向いたAの目が俺を捉えた。
少し影の落ちたAの黒い瞳に吸い込まれそうな気がした。
「ちょっと外に出ないか？風が気持ち良いぞ」
頷いたAは立ち上がると俺に近付いて見上げてくる。
「よく眠れましたか？」
こてんと首を傾げ問うAにお陰様でと返しながら、初めてちゃんと聞くAの声は思っていたより高く可愛らしいなと感じた。
甲板に出るまでの間、すれ違った奴らが慌ただしく食堂に向かったので皆がAを一目見ようと後を着いてきてしまっている。
俺の少し後ろを着いて歩くAはやっぱり小さくて、飯を食べれなかったせいか助けた日よりも痩せたような気がした。
外へ出ると太陽の眩しさからかAが少しふらついた。
「大丈夫か？」
眩しそうに手をかざし目を庇いながら頷いたAを船首まで連れていく。
「……海のにおいだ」
そう呟いたAが海へ落ちないかハラハラしながら見守る。
空や海、船首像をじっくり眺めていたAは俺が見ていることに気づき困ったように肩を竦めた。
そしてふと帆を見上げ目を見開く。
「……海賊旗」
しばらく帆を見上げ固まっていたAは再び海を眺めながら船首像にそっと触れた。
風がAの長い黒髪を遊ぶように舞い上げていった。
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ちょこ(プロフ) - planetbluep379さん» ありがとうございます！月末までバタついているので更新遅くなりますが気長にお待ちくださいませ🙇♀️ (2022年9月15日 10時) (
レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
planetbluep379(プロフ) - 続き待ってました✨嬉しい！頑張ってください😁 (2022年9月14日 9時) (レス) @page43 id: 6277eb3c9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - シンヤさん» ありがとうございます！ (2022年9月6日 16時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています😊 (2022年9月6日 0時) (レス) @page39 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 白雪さん» はじめまして、コメントありがとうございます。お話は順次公開していきますので気長にお待ちください🙏 (2022年9月2日 17時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作成日時：2022年7月7日 23時
