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両手で俺の手をぎゅっと握りしめ掠れた声で感謝を述べるAを抱き締めそうになって、ふと男である俺が迂闊に触れるべきではないと思い止まった。
あの状態で助けたと言えるのだろうかと困惑しながら頭を下げ続けるAを見つめる。
しばらくして顔を上げたAにこれだけは言わなければと思い、彼女の目をまっすぐ見つめながら口を開く。
「……お年寄りや女子供は守られるべき存在だ」
そう言った俺に少し驚いたような顔をしたAは、瞳を潤ませ俺が握り返した手を確かめるように小さな手でぎゅっと包んだ。
どれくらいの時間そのまま手を握り見つめ合っていたのか分からないが、ドアが開く音にハッとして手を離した。
「待たせたね」
ドクターとトレーを持ったベックが医務室に入ってきて、ドクターがベックからトレーを受け取りAに渡す。
「無理せず食べられる分だけ食べなさい」
頷いたAはゆっくりスプーンを口に運び始めた。
若干震える手にドキドキしながらも、食事をするAの姿に俺達は一息ついた。
ベックが来たのは色々話を聞きたいからだろうが、思うように声が出ないならまだ難しいだろう。
それより一日でも早く歩き回れるように力をつけてもらう方が先だ。
だが、俺達のことは知っていてもらわないと困る。
皿の中が1/3ほど減った辺りで手が止まったAにもう良いのか聞くと申し訳なさそうに頷いた。
トレーを受け取ってテーブルに置くと、ベックと顔を見合わせAに向き合う。
「A、今から言うことをよく聞いてくれ」
真面目な雰囲気を感じたのか、背をピンと正して頷いたAにゆっくり話し出す。
「……まず、ここは船の中で、数日前にあの島を出て今は海のど真ん中だ」
Aは窓から見える景色に予想していたのか、さほど驚くことなく頷いた。
「この船の船長が俺で、ベックが副船長だ」
Aはちらりとベックを見てから頷いた。
「俺達はこの船で自由気ままに旅をしてる」
またひとつ頷く。
「……ただ、俺達は海賊だ」
そこでAは目を見開いて驚き、はっと息を飲んだ。
「……この船には男しかいないが、許可なくAには触れないし、いやらしい目でAを見ないと約束する」
海賊であることで怖がらせてしまったかもしれないが、せめてもの思いでそう告げていた。
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ちょこ(プロフ) - planetbluep379さん» ありがとうございます！月末までバタついているので更新遅くなりますが気長にお待ちくださいませ🙇♀️ (2022年9月15日 10時) (
レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
planetbluep379(プロフ) - 続き待ってました✨嬉しい！頑張ってください😁 (2022年9月14日 9時) (レス) @page43 id: 6277eb3c9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - シンヤさん» ありがとうございます！ (2022年9月6日 16時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています😊 (2022年9月6日 0時) (レス) @page39 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 白雪さん» はじめまして、コメントありがとうございます。お話は順次公開していきますので気長にお待ちください🙏 (2022年9月2日 17時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作成日時：2022年7月7日 23時
