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手を伸ばしても届かない ページ39

モブSide


暗闇の中にいる。
初めての感覚なのに、何故かこんなことがあったような気もする。
辺りを見渡しても何も変わらない。
暑くも寒くもない。静かな空間。


『影山くん』


どこまで続いているのかも分からない空間で誰かが僕の名前を呼んだ。
気付くと目の前に一人誰か立っている。
顔も、男か女かも分からないが、人間が立っているということだけはわかる。


でも、僕はその人のことを知っているような気がした。


モ「君は誰?君は僕と出会っていたよね。どうして僕は忘れてるんだ。君がやったの?」


聞こえているのかわからないが、僕は必死に話しかける。
でもその人は、ふっと笑った。
ような気がした。


『君と私は最初から出会ってなんかないよ』


モ「嘘だ。だったらなんで…」


こんなにも、苦しいんだ。
どうして顔も名前もわからない君にどうしょうもなく会いたくなるんだ。

言葉に詰まっていると、その人は踵を返して離れて行こうとした。


モ「待って!僕は君を……」


走って手を伸ばしても、距離が縮まらない。
むしろ更に遠くなっていく。
ふいに、その子が振り返った。


『さようなら。どうか、幸せで』


そしてその子は暗闇に消えていった。
行き場がなくなった手は、ただ空気を掴むだけだった。


モ「……必ず見つける」


僕はさらに拳を強く握りしめる。
忘れてたまるか。
必ず思い出して君を連れ戻す。


モ「待ってて」


そうつぶやいた声は、誰にも届かず暗闇の中に消えていった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

律「あ!目が覚めた。大丈夫?兄さん」


エ「茂夫!」


律とエクボの声がして僕の意識はだんだんはっきりしてきた。
この包帯の匂いや、消毒液のような匂い、保健室か。
僕はどうやら保健室のベッドに運ばれたようだ。
隣にいる律を見つめていると、律はまだ熱があるのではないかと心配した。
起き上がって熱を測ってみたが、平熱だった。
先程の頭痛も今はない。


律「びっくりしたよ。米里さんから兄さんが倒れたって聞いて」


モ「そっか」


エ「大丈夫かよ茂夫」


皆に話すべきなのだろうか。
きっと皆も記憶が消されているのだろう。
話した所で信じてもらえるのかどうか不安だ。


律「…兄さん?」


律が心配そうに僕の様子を伺う。
その顔が、誰かに重なるような気がした。


モ「…律、僕の話を聞いてくる?」


きっと、律なら信じてくれる。
僕は、律にすべて細かく説明し始めた。

君を見つけたい→←喪失感



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設定タグ:モブサイコ100 , 影山茂夫 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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桜餅(プロフ) - 暁さん» そう言って頂けると励みになります!嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年3月20日 8時) (レス) id: b9e517107b (このIDを非表示/違反報告)
- お話がすごく面白くて続きが気になります!更新頑張ってください!楽しみにしてます!! (2020年3月20日 2時) (レス) id: f42709c111 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (2020年1月13日 20時) (レス) id: b9e517107b (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ - 面白いです!更新無理のないように頑張って下さい!!応援してます! (2020年1月13日 10時) (レス) id: 07869dbeb9 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» いつもありがとうございます!少し間が空いての更新でしたが、楽しみにして頂けてるなんて感激です!これからもよろしくお願いします! (2019年6月29日 11時) (レス) id: b9e517107b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜餅 | 作成日時:2019年5月5日 17時

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