喪失感 ページ38
モブSide
あの後、僕達は爪の組織から無事律も助けることができた。
皆が傷付けられているのを見て辛かった。
でも、
ーー逃げてもいい。
そう師匠が言ってくれたお陰で、僕は自分自身を見失わずに済んだ。
無事に家に帰ることができて、律とも仲直りし、また平凡な日常が戻ってきた。
でも、まだ心に穴が空いたような喪失感が残っていた。
これでいいはずなのに、もやもやして仕方ない。
律「あ、兄さん。またスプーンが曲がってるよ」
律の声に僕の意識は現実へと引き戻された。
今は朝ご飯を食べているときだった。
下を見ると、テーブルに食べようとしていたものが落ちている。
またやっちゃった。
ぐにゃりと曲がってしまったスプーンをぼーっと見ていると、律が「貸して」と言って直してくれた。
爪とのことがあってから、律は超能力に目覚めた。
だから、スプーンを直してくれるようになって僕は嬉しかった。
前より、律と話せるようにやった気がするからだ。
僕はあの後2日ほど熱が出て学校を休んだが、すっかり下がって今日から学校に行く。
もやもやは消えないけど、周りはいつも通りなので気にしない方がいいのかもしれない。
モ「ありがとう。律」
まあ、いいや。
そう思うことにした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2日ぶりの学校だ。
廊下を歩いていると、前に楽しそうに話しているツボミちゃんが見えた。
ツボミちゃん今日も可愛いな…。
そう思うと、気持ちがホワっとする。
もやもやとしていた気持ちが少し軽くなるようだった。
隣にいるエクボが「見過ぎだぞ茂夫」と言ってきたがここでは無視をする。
米「あ!モブくんおはよ!」
教室に入ると、米里さんが近寄ってきた。
モ「おはよう。米里さん」
挨拶を返すと、米里さんは2日休んだ僕を心配してくれた。
彼女が話しているのを聞いていると、ふと窓側の方に目がいく。
なぜだろう、教室に入ったら僕は必ず窓側の方を見ていた気がする。
モ「あの子まだ来てないのか…」
あのこ?あの子って誰だ?
米「え?あの子?…窓がどうかした?」
すると、ふと誰かの影を思い浮かべた。
違う。そうだ。居たじゃないか。
思い出した。
あの窓側の一番後ろに君は、居た。
なのに…
モ「どうして、どうして顔も名前も思い出せないんだ!」
だって君は居たじゃないか。
米「モブくん!?」
するとまた頭痛が襲ってくる。
そしてそのまま僕は意識を手放した。
55人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜餅(プロフ) - 暁さん» そう言って頂けると励みになります!嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年3月20日 8時) (レス) id: b9e517107b (このIDを非表示/違反報告)
暁 - お話がすごく面白くて続きが気になります!更新頑張ってください!楽しみにしてます!! (2020年3月20日 2時) (レス) id: f42709c111 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (2020年1月13日 20時) (レス) id: b9e517107b (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ - 面白いです!更新無理のないように頑張って下さい!!応援してます! (2020年1月13日 10時) (レス) id: 07869dbeb9 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» いつもありがとうございます!少し間が空いての更新でしたが、楽しみにして頂けてるなんて感激です!これからもよろしくお願いします! (2019年6月29日 11時) (レス) id: b9e517107b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜餅 | 作成日時:2019年5月5日 17時