私を見つけて 続編

情けない ページ16

モブSide


Aちゃんと喧嘩した。



『本当の私を知ったら、どうせ皆離れていくんだから』



なんであんなこと言ったんだろう。
本当の私って何？
でも、今まで見たことのない悲しい顔をしていた。
その顔を見たときハッとした。
僕がそうさせたんだと。


教室から出ていったときは焦った。
今になっては何で追いかけなかったのだろうと後悔している。
僕らはその後一言も喋らないまま学校を終えてしまった。



米「ねぇモブくん！小野寺さんと喧嘩したでしょ」


放課後、米里さんが早速僕に話しかけてきた。
どうしてそんな笑顔で聞いてくるのかなと思ったが言わなかった。



モ「喧嘩っていうか……」



米「何があったの？」



モ「頼ってほしかったんだ。僕を。だけど彼女は僕じゃなくて師匠に…」



米「師匠？」



あ、そうか僕は…



モ「違う。僕が悪いんだ。僕は自分に頼ってもらえなかったことに怒って、彼女に当たったんだ」




米「モブくんそれって……」




モ「僕は……最低だ」



そんな事で傷付けてしまったのか僕は。
情けなくて仕方ない。



米「要するに、モブくんは嫉妬したってことよね？」



モ「し、嫉妬？」



米「だって自分じゃなくて他の人に頼られてムカついたんでしょ？それって嫉妬よ！」



モ「そっか。これは、嫉妬か」



米「す、素直ー……。認めたわねモブくん」




モ「うん。嫉妬したんだ。謝らなきゃ。僕からちゃんと」




「誰に謝るんだー？」



モ「！？あ、えと確か、Aちゃんのお兄さん」



米「お兄さん！？」



後ろから声をかけてきたのは、前に一度会ったAちゃんのお兄さんだった。



大「あー……。そうだったな。Aの兄です。アイツは学校で上手くやれてますかね？」



お兄さんは、米里さんに挨拶してくれた。
さすがの米里さんも、お兄さんの威圧に驚いていたが、「どうも」と会釈していた。


大「影山くんだったよなぁ」



モ「あ、はい」



大「ちょっくら二人だけで話しようぜ」



モ「……！」



お兄さんは、顔を僕に近づけてニヤッと笑った。
あ、前もこんな顔されたな。
なんか試されているような気分だ。



大「そんな怯えんな。取って食いやしねぇよ。ちょっとあいつのことでな」



モ「Aちゃんの？」



大「あぁ。どうだ？来るか？」



挑発のような誘いに僕は不安だったが



モ「はい。行きます」



そう言うと、お兄さんは笑った。



大「そうこなくっちゃな」

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