【DQ11】亡国の悲劇

案の定！(SS) ページ25

ユグノア王国にルーラで移動した。

届いた義手を持ち、フードで顔を隠し彼女がいるはずの屋敷に向かう。着いたら義手を渡し、使用方法を解説して帰るだけだ。私は彼女に言ったのだ、３日間絶対に変な行動はするな、と。


なのに何なのだ……この嫌な予感は……。


正門を通る際、少しだけフードをずらす。すると兵士達は最敬礼し、道を空けた。ご苦労だな、と呟くように言えば彼らは顔を赤くし羨望の眼差しを私に送ってくる。やめろ。

「……グルーニア様はいらっしゃるか」

「只今書斎で趣味に没頭しておられます……」

「そうか、なら問題ないな。 邪魔するぞ」

遠慮なくズカズカと屋敷の中に入る。書斎に辿り着きノックすると、扉がゆっくりと開いた。

「……あ、ホメロスくん」

「お久し振りです」

私が来た理由はただ一つ。グルーニア様もそれは分かっていらっしゃるはず。なのにどうしてそんなに目を右往左往させ、慌てているのか？

「え、えーっと」

「グルーニア様、彼女は」

「あっえっと」

「Aは」

「……すまん！！ Aはいま、モンスターの里にいる！！」



「…………は？」




モンスターの里だと？ 何がどうなってそんなところに行く用事ができるんだ。ここまでくると本当に理解し難いぞ。

「買い物途中に傷ついた魔物を見つけてきてね。一晩ここに泊めてやったんだけど……話を聞くとその魔物達の里が危ないらしいじゃないか」

「……へえ」

ああ、今の自分の顔は恐ろしいくらいに冷たいだろう。

あんな大怪我でモンスター同士の抗争に首を突っ込むなど、馬鹿も大馬鹿。直接会って説教どころでは済まんな……。

「あ、でもキメラ達も一緒に着いて行ってもらったから、きっと大丈……」

「Aはどこに行きました？」

「えっ」

「どの方角に行ったんですか」

「あ、うん。南の……山脈」

「そうですか……」

「あ、ホメロスくんも気をつけてねー」

マントを翻し、屋敷を出る。近くで馬を借りて全速力で南の山脈へ向かった。







――







「……こっちか」

精神を集中させ、Aの魔力を追う。これは個人が通って一定時間経たないと感じ取ることができない。とすると……。

「ユグノアを出たのは３刻程前」

案の定こうなってしまった。まあ予定通りと言えばそうだが。この為に書類は全て処理し、実務も出来るだけ片付けて後はグレイグに任せるよう計らい、来たわけだから。


「……まったく、今度は無事でいろよ……！」

わかってないのはどっち→←ほんとの悪者

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