【DQ11】亡国の悲劇

早速 ページ16

「では、俺達はデルカダール国へ帰る事にする」

「グレイグ、ホメロス。今回は本当にありがとうございました」

深々とお辞儀をすると、ホメロスは腰に手を当て軽くため息をつく。

「私達がいないからといって下手な真似はできんぞ」

「え」

顔を上げ、短くそうこぼすと。
なんと二人の間から魔物が三匹踊り出すような勢いで出てきたではないか。

「ぼく達がいるもん！ ねーキイメ、ミドンジャ！」

「いえーいもじゃ！」

「……よろしく」

「最初目覚めた時も思ったけど何でここに！？」

出入りの時見られたら怪しまれるでしょ！ と三匹に言えば、彼らはドヤ顔で王様から許可を得た、と。……どういうことだ。

「ユグノア王に直談判してAの直属部下になったらしいじゃないか」

「そうもじゃよー」

足りない頭で思考をめぐらせば、ホメロスがミドンジャを抱き上げて言った。

「っていうかホメロス、いつからそんな仲良くなったの」

「仲良くなどない、毛並みを堪能しているだけだ」

もふもふ。

「もじゃは快楽の為利用されているもじゃよー」

その言い方、危ないからやめなさい。

「俺達は俺達の騎士道に則りAを守ると決めたんだ。異論はないだろ？」

キイメが羽ばたきながら首を傾げる。う゛ぅん、そういう仕草はキュンとくるから……。

「騎士道、か……そういうことなら致し方ないけれど……何か異変があったらすぐ私にいう事。私、部下が好き放題されて黙ってられる程バカじゃないからね」

「了解した」

「はーい！」

「じゃあもじゃのことも助けてくれもじゃ！」

未だホメロスにもふられているミドンジャに視線をやり、目を逸らす。

「今見なかった事にしたもじゃ！ ひどいもじゃ！ これは裏切りもじゃあ！」

腕の中でワイワイ騒ぐミドンジャを見て、アオイムが一言。

「もじゃもじゃうるさいよ！」

そしてメラを唱え、火の球を出現させる。

「ちょ、私に当たるだろうがっ！」

ホメロスが慌てて長い髪の束を守るように背中に流す。

「動いたら当たっちゃうよ〜」

「こ、こらああアオイムやめなさい！」

グレイグも微笑ましいなあ、じゃなくてこのスライム止めてくれよ！ ちょっと面白がってきてるし！





「もじゃあああああああ！！」





「……カオスだな」

キイメの言う通りです……これからどんな生活が待ってるんだろ……。

黒焦げになったミドンジャにベホマをかけながら、しみじみと思った。

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