魔物の騎士道 ページ13
「王様、話がある」
俺とアオイムとミドンジャは、玉座の間へ向かう王様に着いて行き引き止めた。そして俺達は井戸のある庭に行くと、人から魔物に戻り王様に直談判する。
「やっぱりぼく達を昇進させてほしいんだ」
「その話か」
今の王様はAへの責任とショックで判断力が鈍っているだろう。魔物の俺達を庇ってくれた王様にすることじゃないが、何より俺達は王様ではなく、Aに忠誠を誓っている。あの豪雨の夜に助けてもらった時から。
「もじゃ達がずっと側にいればAも無茶な真似はしないはずもじゃ」
「王様が折角くれた休暇も、Aはこっそり鍛錬しに行って絶対休まないと思ってる」
「……それは、私も考えたが……しかし、君達はそれで良いのか?」
その言葉に、ミドンジャはアオイムを頭に乗せて尻尾でクエスチョンマークを作る。器用だなおい。
「私は君達の身分をわざと地味なものにすることによって、君達を守っているつもりだった。……しかし、君達が三人共一気に昇進するということは」
「ぼく達は水龍には敵わなかったけど、人間に負けるつもりは毛頭ないよ!」
アオイムが強気に言い放つ。王様はぽかんとした後、優しい笑みを浮かべアオイムをぽんぽんと撫でる。
「そうだな、君達は十分強い。並の兵士では太刀打ちできんだろうな」
「えへへ」
「アオイムだけずるいもじゃ〜もじゃも撫でて欲しいもじゃ〜」
「お前らな……」
急にはしゃぎ出した二匹に呆れの視線を向けた。
まあいい。
翼をたたみ王様の肩に乗る。宴で盛り上がって騒ぐ人間共の喧騒を聞き流し、俺は王様に宣言した。
「Aは俺達が守ってやるから、安心しろよ王様」
「命に代えてもがんばるよ!」
「アオイムゥ、死んだらAに怒られるもじゃ」
「そうだった!」
「もじゃっ! もじゃっ!」
ぴょんこぴょんこと跳ねるアオイム。着地する度にミドンジャの頭が揺れに揺れている、やめてやれよ。
「たくましいな、君達は……」
王様がどこか遠い目をして、小さく呟く。肩に乗った俺はそれを聞き逃さなかった。
「なんだよ王様、あんたらが俺達に教えてくれたんだぜ? 騎士道ってヤツをよ」
「……そうだったな」
俺達魔物は人間の作った制度なんかに興味は無い。それに則るのは、ゴールドで食い物を買う行為だけで十分だ。
でもな。
人間の言う騎士道ってのは、実は随分気に入ってるんだ。
Aは俺達三匹が守る。
それがいわば、俺達魔物の騎士道だな。
70人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ChocoLa(プロフ) - pirioさん» 魔物ブラザーズにクスッときました笑 そうですね……私のUndertale小説を読んで下さったらわかるんですが、(宣伝すみません!!)私の小説はよくキャラが死にます。(迫真) あ、そうですね!そうかもしれません。アオイムがグレイグ二号になる日も近いか……? (2017年9月25日 23時) (レス) id: 8909d06097 (このIDを非表示/違反報告)
ChocoLa(プロフ) - よぼよぼ婆ちゃんさん» スマホから書いてるんですが、腱鞘炎になりそうです← ありがとうございます♪ いえいえ!カミュ夢書いてらっしゃる作者様ですよね?読んでいただけて凄く光栄です!!そんなことないですよ、よぼよぼさんの作品読ませていただいてるんですが、とても面白いです! (2017年9月25日 23時) (レス) id: 8909d06097 (このIDを非表示/違反報告)
pirio(プロフ) - え……魔物ブラザーズ(勝手に名付けてすみません)死んじゃったんですか、、。好きなキャラだったので悲しいです。あと紫苑の誓いでのグレイグって絶対バンデルフォンのこと思いながら言ってますよね。、ふあああなんか衝撃でした>< (2017年9月25日 18時) (レス) id: 31a4e1749a (このIDを非表示/違反報告)
よぼよぼ婆ちゃん(プロフ) - 今日、一気に更新したのですね!! 続きがこんなに読めて嬉しいです^^ この作品を読むたびに、自分の文才の無さがよく分かってしまいます(泣) (2017年9月25日 17時) (レス) id: b26a8ca70c (このIDを非表示/違反報告)
ChocoLa(プロフ) - 魔物入れちゃいました。。前作から読んで下さってありがとうございます〜>< あーでも魔物小説ないですね!自分擬人化とか好きなので魔物小説誰か作ってくれないかな()って思ってます()わたしの好きモンはキラーマシン2ですかね、めっちゃかっこいいですよね! (2017年8月27日 13時) (レス) id: 73c0835f44 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ChocoLa | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/mylist
作成日時:2017年8月24日 15時