終 ページ21
「今日、私達の出発を見送りに来てくれた皆の者、感謝するよ」
父さんがソルティコの民達に告げると、皆堰を切ったように涙を流し始めた。
父さんってあんなに人望あったんだな。
挨拶の終わりにジエーゴ様が父さんに激励の言葉をかけて、式は終わった。
私は執事やメイドさん達に立派になって来て下さい、とボロボロ泣かれたから疲れてるんだけど、今日に限って今まで一緒に鍛錬してきた子供達やその親御さん達、近所のじいちゃんばあちゃんたちにも詰め寄られ、出発の前に更に精神を摩耗した。
……迷惑みたいに言ってるけど、本音を言うと凄く嬉しい。でも素直に嬉しいって思うと涙が出てきてしまう。だから歪んだ捉え方しかできないんだけど、それは嘘だから。ごめんね、本当は私もみんなのこと大好きだし、離れたくないよ。
じわり。
「……っ」
泣かない、泣かない。泣いちゃダメ。
皆に別れを告げ、正門まで走った。
――
「グレイグ、ホメロス！」
父さんは馬車を持って来ている最中らしく、ここには居なかった。
「おお、どうしたA？」
グレイグは振り向いていつもと変わらない笑みを私に向けてくれる。ホメロスはずっと正門の外に顔を向けていた。
「ホメロスのことは気にしないでくれ」
「……？ わ、わかった」
朝は私にちょっかいかけにくる程元気だったのに、どうしたのかな。彼の様子も気になるけれど、私は二人に渡さなければならないものがあった。
「あの、グレイグ……受け取って」
「これは、御守りか？」
「そ。私特製の加護付きだから、性能もばっちし」
グレイグには龍の御守り、そしてホメロスには虎の御守りを渡す事にしている。
「ねえホメロス、あんたもこっち向いて、御守り受け取って？」
「……
「すまんなA、ホメロスの奴、感極まって泣……」……いてねえよ！」
キレ気味にやっとこっちを向いたホメロスだけど、目元がばっちり赤いので丸分かりだ。
「ホメロス、はい」
「……なんだよ、これ」
「何って、昨日ホメロスが言ったんだよ？ “三人で平和な世界をつくろう”って」
それまでに誰か死んじゃったらだめじゃない、そう続けると、ホメロスは大事そうに御守りを受け取ってくれた。
「……ありがとな」
「ありがとう、A」
「うん、じゃあ、お互い気を付けて」
三人で顔を見合わせ、私達は笑い合う。
いつか、その夢を叶える日まで。
少しの間の、さよならの筈だった。
――Fin.
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ChocoLa(プロフ) - 魔族長ホメロスさん» コメントあざます！めっちゃお褒めいただいて光栄ですん！続編は予定してます！カミュ夢になる予定です！ホメロスも乱入してきます！続編でもよろしくお願いします！ (2017年8月24日 14時) (
レス) id: 73c0835f44 (このIDを非表示/違反報告)
魔族長ホメロス - あ、いきなりすいません。１話から見て居ました。とても面白い小説でした！キュン要素とギャグ要素がいい感じでよかったです！ (2017年8月24日 14時) (レス) id: 8414186cd0 (このIDを非表示/違反報告)
魔族長ホメロス - 続編とかはないんでしょうか。。？これで終わりだと実況最後まで見たので悲しいです。続編期待します！ (2017年8月24日 14時) (レス) id: 8414186cd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ChocoLa | 作者ホームページ：http://ulog.u.nosv.org/mylist
作成日時：2017年8月19日 15時
