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虚無感を抱えて家に帰る。
ベッドに横になって目を閉じると、次に目が開いたのは午前10時25分だった。
「昨日どこ行ってたの？」母親の問いに正直に答えられるほど、俺は純粋ではなかった。
「橋本家にいた」
「そう。ちゃんとお礼するのよ」
簡単だ。
次の日、学校に行くと何事もなかったかのように日常が回る。
Aに呼び出されることはぴたりとなくなったし、俺はあの繁華街に一切近づかなくなった。
どちらも無責任だ。
ふと、気になってSNSで『エリカ』と検索してみた。するとトップに表示されたのはフォロワー1万7235人のアカウント。
スクロールすると、上半身を晒した写真やスカートを捲り上げる写真、ホテルのベッドと共に「フォロワーさんとオフった♡」の文が添えられたツイートなどがたくさん出てきた。
いたたまれなくなって、すぐに消した。
出会う前ならきっと興奮しただろうけど、今の俺は虚無だった。
忘れようと思っても、もう無理だ。
いくら俺がAの望むことをしたって、完璧に満たされることはないだろう。
それどころか、自己嫌悪を抱かせてしまう。
でも、あのときのAは確かに幸せそうだった。
身体から満たされているように感じた。
幸せってなんだ。
本当の助けってなんだ。
俺はAを本当の意味で助けられなかった。
それでも、あの一瞬だけ、2人で溶け合ったときが『救済』ならば、それはそれでよかったかもしれない。
永遠を求めるAと、一時的しか与えられない俺。
理科室の奥で、俺に縋ったA。
なぁ、何が正解だったのかわからねぇよ。
お互い、どうすればよかったんだろうな。
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作者名：あり | 作成日時：2019年3月21日 17時
