Relief (ページ20)

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正しい選択ってなんだろう。

この場に完璧な答えなんてあるんだろうか。

「俺、そういうことしないって言っただろ」

「わかってる……それを承知でお願いしてるの」

湿った前髪から、水滴がぽたりと落ちた。

目尻から、涙の筋がどんどん流れる。

「……助けてくれるんだよね？」

何が悲しくて、そんなに泣いているんだ。

「うん」

「私は、高橋くんに抱かれることが私にとっての救済だと思ってるよ」

Aは俺に巻きつけていた手を離すと、両手を頬に添える。

あ、これは、と後ずさりしても無駄だった。

「……ん」

唇が押し付けられる。
角度を変えて何度も。

ちょっと待て、と口を開きかけたとき、Aの舌が口内に侵入してくる。

突然の事で身動きが取れない。気づけば壁に背中が当たっている。

歯列や上顎を舐められると、途端にゾクゾクした感覚が身体を走る。

動かない頭の片隅で「これでいいならいいか」と思っている自分がいることが怖い。

チラリとAを見ると、まだ涙がぽろぽろ溢れていて、心臓をグッと握り潰された気がした。

痛い。

何もできずただぼんやりしていると、口が離される。

「ね、ダメかな」

何を訴えているかなんてすぐにわかる。

バスタオル1枚のAから目を逸らす。

「……もう何がなんでも助けてやるよ」

「ふふ、ありがとう」

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